Tuesday, May 07, 2024

5/14 アトリエ・ベルクソンでの発表:フランクフルト学派周辺のBergsonian Left――ベルクソンとアドルノ、アーレント、ベンヤミン

パリENSで開催されますが、ZOOMでも開催予定ですので、お時間ある方はぜひ(発表はフランス語)。

5月14日(火)

***

 私たちはここで「Left bergsonians」という一風変わった概念を提唱したい。これは単に『暴力論』(1908年)のジョルジュ・ソレル(1847-1922年)をはじめとして、アンリ・ベルクソン(1859-1941年)を積極的に援用した「ベルクソン左派」だけに限らない。一見ベルクソンの政治的・社会的思考を見捨て、放棄した(left)ように見える思想家たちの中にも、その思考にとどまり、ひそかにその遺産と共鳴し、ある意味でそれを遺贈された(left)思考があるのではないか。本発表は、「暴力の世紀」でもある二十世紀を生き抜いたフランクフルト学派とその周辺の思想家たちにはそれを見出そうとする試みである。彼らとの対決を通して浮かび上がるのは、「暴力」概念の刷新に寄与するベルクソンという馴染みのないイメージである。

ベンヤミン(1892-1940年)は、ベルクソンの他の著作には言及しているものの、なぜか『二源泉』(1932年)にだけは言及していない。だが、ソレルの『暴力論』を独自の仕方で発展させた「暴力批判論」(1921年)や「運命と性格」(1921年)といった論文において彼は、神話・運命・法をめぐる問題圏を掘り下げ、共同体の在り方をめぐって、人間の非暴力的な結びつきの可能性を模索していた。彼における「神話的暴力/神的暴力」の峻別は、ベルクソンの「閉じたもの/開かれたもの」の政治的射程を逆照射するものである。

ハンナ・アーレント(1906-1975年)は、『暴力について』(1969年)の中で、「われわれが何よりも興味を覚えるのは、ソレル的な解釈を刻印されたベルクソンの生の哲学の奇妙な復興である」(邦訳161頁)と述べ、「暴力を生物学的に正当化しようとするこの一見新奇な動向」(同)に反対しつつ「権力も暴力も自然現象、すなわち生の過程の顕現ではない。それらは、人間の事柄のうちの政治的領域に属すのであって、人間の事柄のうちで本質的に人間的な性質は、人間の行為の能力、何か新しいことをはじめる能力によって保証されている」(邦訳170頁)と主張する。だが、そのアーレントが遺作となる『精神の生活』第一巻から第二巻への橋渡しとなる部分(「27. 補遺」)で、その新たなことをはじめる「精神の意志の力」(mind’s will power)に言及し、「その内的明証――ベルクソンの言葉では「意識の直接与件」――を真剣に扱うことを提案する」(247頁)時、彼女が引用するのは、ベルクソンの『試論』なのだ(邦訳246頁)。

テオドール・アドルノ(1903-1969年)は、代表作『否定弁証法』(1966年)の中で、ベルクソンに関して「彼が手探りで求めているものは、(…)ひたすら認識の道具でもって、つまり認識固有の手段を反省することによって裏書されるべきであって、はじめから無媒介に認識の手続きにされてしまっているような手続きにあっては恣意に堕してしまうだろう」(15頁)と批判している。ところで、『啓蒙の弁証法』(1944年)ですでに、人間を非合理性から解放すると同時に、画一化をもたらすことになる〈理性〉の両義的な力を告発していたこの反(アンチ)体系の哲学者は、一般理論を断念し、その都度「限定的な否定」を実践することで、言い表しえないもの、概念化からこぼれ落ちるものとしての非同一的なもの・個・特殊性を何とか言い表そうとする断片的な思索の努力を哲学そのものだとしていた。だとすれば、「直観とは反省に他ならない」(PM 95)と述べ、複数の限定的な視点から交会法(méthode de recoupement)的な仕方で真理に近似値的に迫ろうとするベルクソンは、否定弁証法とそれほど遠いところにいないのではないか。

Tuesday, April 30, 2024

4月第5週(4/29-5/5)

課題

①F論完成(4/29)、②ブラジル誌PM論文(4/30)、③DI論集仕上げ(4/30)、④5/14レジュメ送付

04月

04月29日(月)F論ようやく完成(すみません・・・)⇒ブラジル誌PM論文

04月30日(火)ブラジル誌PM論文とにかく出す(しかし週末に完成版を出さねば…)

05月01日(水)体調悪くダウン

05月02日(木)DI論集(あとがき)DI論集(PBJ記録)

05月03日(金)DI論集(自分の論文)

05月04日(土)⇒徹夜で何とかDI論集(自分の論文)なんとか終了?(タイトルのみ考え直す)⇒5/14レジュメ

05月05日(日)いろいろバタバタ。①5/14レジュメ送付したい。

②DI論集拙論タイトル考え直す

③ブラジル誌PM論文少しでも進める


次週の課題

①K論第3節仕上げ=連載最終回(5/10)、②B&フランクフルト学派(5/14(火))、②植物哲学(5/16(木))


次々週の課題

①B&K論準備(5/29)、②Disposition概念勉強(6/11)、③M論準備(6/22)

05月

05月14日(火)アトリエ・ベルクソン@ENS

05月16日(木)エリーのセミナーで発表@ナンテール大学

05月22日(水)連載締め切り

05月29日(水)-31日(金)ベルクソンとカント@伊・アクイラ大学


06月

06月11, 12日()イギリス(北アイルランド)ベルファーストでWS

06月26日(水)CET10h-12h=JST17h-19h 

第33回フランス政治思想研究会にて、
渡名喜庸哲さんの『現代フランス哲学』(ちくま新書)合評会:郷原佳以さんと

07月

07月15日()F論集イベント?

07月21日(日)『愛・セックス・結婚の哲学』刊行記念イベント?

07月17-22日()マキコミヤで「ベルクソンと動物たち」

08月

08月15日()平賀合評会記録、HTM合評会記録2本

08月24-25日 リズムの哲学研究会第2回@高知編

09月

09月15日()連載締め切り

09月30日()カリスマ教師ベルクソン論


10月15日()連載締め切り

11月15日()連載締め切り

Wednesday, April 17, 2024

2024年4月第3週(4/14-20)

課題

①K論第2節完成(4/19)、②F論集原稿完成(4/22)、③DI論集仕上げ(4/30)

04月

04月16日(火)深夜:九産大美術館のための小文ひとまず完成

04月17日(水)午前:メールひたすら返す、午後:K論第2節

04月18日(木)午前:メールひたすら返す、午後:K論第2節

04月19日(金)K論第2節完成⇒F論仕上げ

04月20日(土)F論仕上げ

04月21日(日)F論仕上げ

04月22日(月)F論完成、リズム論


課題

①K論第3節完成(4/26)、②ポルトガル誌PM論文(4/30)、③DI論集仕上げ(4/30)

05月

05月14日(火)アトリエ・ベルクソン@ENS

05月16日(木)エリーのセミナーで発表@ナンテール大学

05月22日(水)連載締め切り

05月30日()-06月1日()ベルクソンとカント@伊・アクイラ大学


06月以降

06月?日()イギリスでWS?

06月26日(水)CET10h-12h=JST17h-19h 

第33回フランス政治思想研究会にて、
渡名喜庸哲さんの『現代フランス哲学』(ちくま新書)合評会:郷原佳以さんと


07月15日()F論集イベント?

07月17-22日()マキコミヤで「ベルクソンと動物たち」

08月15日()平賀合評会記録、HTM合評会記録2本

08月24-25日 リズムの哲学研究会第2回@高知編

09月15日()連載締め切り

09月30日()カリスマ教師ベルクソン論

10月15日()連載締め切り

11月15日()連載締め切り

Thursday, March 28, 2024

2024年3月第4週(3/24-3/30)

3月第4週(3/24-3/30)

03月24日(日)SM発表準備

03月25日(月)SMパワポ作成

03月26日(火)学会の某重要作業一つ終了⇒SMパワポ作成

03月27日(水)セバスチャン・ミラヴェット合評会(SMパワポ完成)

03月28日(木)CET9時:編集者と打ち合わせ、大量のメール処理、F論3節執筆。

03月29日(金)F論#3完成 ⇒ 学会の某重要作業二つ目

03月30日(土)リールに向かう


課題

①F論集原稿完成(4/3)、②K論第1節完成(4/5)、③アルノーのセミナーで発表(4/8)


03月31日(日)リール滞在

サマータイム開始を忘れないようにせねば。31日(日)の深夜2時が深夜3時になる。

04月01日(月)F論集原稿バージョンアップ⇒アルノーのセミナー準備

04月02日(火)F論集原稿バージョンアップ⇒アルノーのセミナー準備

04月03日(水)F論集原稿提出⇒K論第1節まとめる(キリスト教的結婚観入れる?)

04月04日(木)K論第1節完成⇒アルノーのセミナー準備

04月05日(金)アルノーのセミナー準備

04月06日(土)ポワチエに向けて出発⇒アルノーのセミナー準備


04月

04月07日(日)ポワチエ滞在

04月08日(月)アルノーのセミナーで発表@ポワチエ大学

ポルトガル誌PM論文⇒一か月締め切り延長(助かる)


04月22日(月)連載締め切り


05月

05月14日(火)アトリエ・ベルクソン@ENS

05月16日(木)エリーのセミナーで発表@ナンテール大学

05月22日(水)連載締め切り

05月30日()-06月1日()ベルクソンとカント@伊・アクイラ大学


06月以降

06月?日()イギリスでWS?

06月15日()連載締め切り

06月26日(水)CET10h-12h=JST17h-19h 

第33回フランス政治思想研究会にて、
渡名喜庸哲さんの『現代フランス哲学』(ちくま新書)合評会:郷原佳以さんと


07月15日()連載締め切り

07月17-22日()マキコミヤで「ベルクソンと動物たち」

08月15日()連載締め切り

09月15日()連載締め切り

09月30日()カリスマ教師ベルクソン論

10月15日()連載締め切り

11月15日()連載締め切り