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Tuesday, April 04, 2023

2022年‐2023年度の教育業績

①2022年7月16日()14:00-16:00 あなたの"性"とは?セクシュアリティについて考える
主催者: 藤田尚志+九産大藤田ゼミ生

ゲスト:池袋真(女性医療クリニックLUNA トランスジェンダー外来担当医)

②7月20日(水)17:30~19:30 札幌から福岡へ~LGBTQと社会

主催者:藤田尚志+九産大藤田ゼミ生

ゲスト:さっぽろレインボープライド実行委員会有志

③7月21日(木)17:30-19:30 土肥いつきさんと語る若者のトランスジェンダーの悩み
主催者:藤田尚志+九産大藤田ゼミ生

ゲスト:土肥いつきさん(トランスジェンダー生徒交流会世話人)

④7月22日(金)14:40-16:10 土肥いつきさんと語る、学校教育とトランスジェンダー@佐賀大 主催者:科研費プロジェクト「日本・英米との比較から見たフランス現代哲学の主体・人格概念(愛・性・家族を軸に)」(研究課題番号22K00022)+佐賀大学教員有志(吉岡剛彦+後藤正英)

⑤12月21日(水)17:30-19:30 皮膚と心 亜鶴Azu氏講演会
主催:国際文化学部国際文化学科藤田尚志研究室

Tuesday, March 14, 2023

3/11-13 パリ滞在2~4日目

2日目:3月11日(土)

 6時起床、朝食。今夏からの滞在に向けて子どもの学校にメール、関係書類作成。

 8時:発表準備。14時半、

 19時:平井さんと花を買って、カテリナの家へ(この家は元々ネグリとジュディット・ルベルが住んでいたところ)。パートナーのミケレさん、2歳半の愛息ジュリオ君と初対面。

3日目:3月12日(日)

 6時起床:仕事、6時半~7時半:家・学校・ヴィザ問題ZOOM会議

 夜まで発表準備。20時半:シャワー、アトピーの薬塗布に時間がかかる。21時:就寝

4日目:3月13日(月)

 2時起床:準備再開。10時半:ENSへ。と言っても通りを挟んで目の前なので、2~3分だけど。パヴィヨン・パストゥールの廊下でジャン=クロード・モノーと遭遇。私あなたの本読みました(世俗化論争)。「ありがとう、日本人と待ち合わせしているんだ。十年位前にパリで勉強してたらしい。言語とか。タツヤなんとか」、それ西山達也さんじゃないですか、多分ねメールもう一度見てみるよ、などと言って別れた。数分後に西山達也さんが現れた。世界は狭い。私の世界が狭いだけか。

 11時~13時:セミナーの初回(対面+ZOOM)。カテリナの過分な紹介に感謝。平井さん、ブラジル人のマリネ、ロシア人のダリア、そして・・・なんと『創造的進化』の校訂者でリール時代からの旧友アルノー・フランソワが! と驚いていたら、都立大の西山雄二さんが!! びっくりした。セミナーの日にW西山にENSで会うとは。

 発表の出来は相変わらずイマイチであるが、それは自分の実力なので仕方がない。言いたかったことは伝えられたし、カテリナやアルノーも発表の補足をさせてくれるような質問をしてくれたし、ZOOM参加してくれた見ず知らずの地理学者の面白そうな質問にはうまく答えられなかったけれど、まあ良しとしよう。

 中学生のルネス君が集合写真を撮ってくれた。スタージュ(就労体験)の一環で、ENSで一週間だけ働いているのだそう。中学生で一週間ENS、贅沢な体験だ(私的には)。電車で一時間くらいのところに住んでるとか、空手の黒帯でヨーロッパで活躍しているとか、いろいろ話してくれた。

 その後、近くのフレンチLe Paradis des amisで(アルノーを除く、ルネス君含む)7名で食事。発表が無事終わった安心もあって、本当に楽しかった。3時半頃終了(2時間半はさすがに長い)。図書館のカードを作ってもらって、平井さんと一緒に行ってみた。2021年刊行の『ベルクソンと認知科学』(リキエ序文)は知らなかったねと言いつつ、二人でヴランへ直行。なかったので、ジベールへ。

 温かいスープとサラダを食べて10時頃に就寝。



Tuesday, June 14, 2022

6/19 「ベルクソン思想の現在 21世紀に炸裂する20世紀の生の思考」第一夜 藤田尚志×米田翼「生きるとは?――『創造的進化』の未来」

 

「ベルクソン思想の現在 21世紀に炸裂する20世紀の生の思考」第一夜 藤田尚志×米田翼「生きるとは?――『創造的進化』の未来」

フランスの哲学者ベルクソンの名を世界に知らしめた『創造的進化』。

そのなかでうごめく繊細なイメージ群を丹念に解きほぐしながら、この著作を「方向/彷徨」概念の脱構築の書と読み解く藤田尚志の『ベルクソン 反時代的哲学』(勁草書房)。

ベルクソンと同時代の生物学を徹底的に突き合わせながら、既存の生命観に対するオルタナティブを模索する米田翼の『生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想』(青土社)。

奇しくもまったく同じ日に初の単著を刊行することになった師弟が、ベルクソン的な生の行方をめぐって語り尽くします。

6~8月にかけて全4回でお送りする連続トーク企画「ベルクソン思想の現在 21世紀に炸裂する20世紀の生の思考」の第一夜です。

2022年6月19日(日)

休館日:月・火
開催時間

13:00 〜 15:00

開催場所

本のあるところ ajiro

〒8100001 福岡県福岡市中央区天神3丁目6-8天神ミツヤマビル1B
料金
1000円 
参加条件
要申し込み URLから申し込みを
URL
https://note.com/kankanbou_e/n/n76eb684b6972
主催者
本のあるところ ajiro
問合せ

本のあるところ ajiro

080(7346)8139

ajirobooks@gmail.com

Thursday, June 09, 2022

イベントやります!

遠隔参加もできますが、ご来場いただくとよいことがあるかも。

 https://note.com/kankanbou_e/n/n50223e07ff8c


師弟対決と言われていますが、杉本昌隆八段の気持ちかもしれません。

とりあえず自分にできることを、できる範囲で頑張ります。

本が高いので買えないという方は、ぜひお近くの図書館に購入希望をお願い致します。


Sunday, May 15, 2022

或る授業の記録

 第1回

 4/12 国際文化研究演習Ⅰ:「脱構築」を理解する(1)ジャック・デリダ、ジョン・D・カプート編『デリダとの対話 脱構築入門』(法政大学出版局、2004年)を読む①
 4/14 欧米思想研究(フランス思想):「ひきこもり」研究(1)斎藤環『「ひきこもり」救出マニュアル 理論編』(ちくま文庫、2014年)を読む①

第2回
 4/19 国際文化研究演習Ⅰ:「脱構築」を理解する(2)『デリダ入門』を読む②
 4/21 欧米思想研究(フランス思想):「ひきこもり」研究(2)斎藤環『ひきこもり 理論編』を読む②

第3回
 4/26 国際文化研究演習Ⅰ:「脱構築」を理解する(3)『デリダとの対話』を読む③
 4/28 欧米思想研究(フランス思想):「ひきこもり」研究(3)斎藤環『ひきこもり 理論編』を読む③

第4回
 5/10 国際文化研究演習Ⅰ:「脱構築」を理解する(4)『デリダとの対話』を読む④
 5/12 欧米思想研究(フランス思想):「ひきこもり」研究(4)ぼそっと池井多『世界のひきこもり 地下茎コスモポリタニズムの出現』(寿郎社、2020年)を読む


Wednesday, September 08, 2021

9/11 日仏哲学会秋季大会シンポジウム「哲学者の講義録を読む」@東京都立大学+ZOOM

学会員でなくても、どなたでもご参加いただけるとのことですので、ご関心のある方はぜひお越しください。

***

日仏哲学会秋季大会シンポジウム

2021/9/11 15時~18時半。 東京都立大学+ZOOM(要事前登録)
https://zoom.us/meeting/register/tJEkcOyorT4sH92faZfagL3xH0W5mLC2Of5f

「哲学者の講義読む」 

近年、哲学者の講義が続々と刊行されており、日本でも翻訳が出揃っている。現代の哲学者は教育者でもあった。彼らは公刊された著作とは異なる、いかなる教育実践をおこなっていたのだろうか。教育と研究の相違、話すことと聴くことの教育法、教育的語りのリズムや調性、ソクラテス的産婆術を範とする真理の教示法、研究教育制度への哲学的な問い・・・・・・。本シンポジウムでは、ベルクソン、メルロ=ポンティ、フーコー、ドゥルーズ、デリダの講義をもとに、教育の現場に立つ哲学者の姿に着目し、互いに比較・考察をおこなってみたい。

発表者:藤田尚志(ベルクソン)、酒井麻依子(メルロ=ポンティ)、八幡恵一(フーコー)、西川耕平(ドゥルーズ)、西山雄二(デリダ)

企画責任者:西山雄二

Tuesday, August 24, 2021

後期の教科書

 昔のようにデカルトやライプニッツを読んでいた時代は完全に過去のものになってしまった。

しかし、何とか踏みとどまりたいと思い、試行錯誤を繰り返している。

ゼミⅠの教科書:

岡本裕一朗『哲学の世界へようこそ。』、ポプラ社、2019年。

→佐藤岳詩『心とからだの倫理学 エンハンスメントから考える』、ちくまプリマ―新書、2021年。

ゼミⅡの教科書:

斎藤環『キャラクター精神分析』、ちくま文庫、2011年。

→佐藤岳詩『心とからだの倫理学 エンハンスメントから考える』、ちくまプリマ―新書、2021年。

ゼミⅢの教科書:

山口尚『日本哲学の最前線』、講談社現代新書、2021年。

→佐藤岳詩『心とからだの倫理学 エンハンスメントから考える』、ちくまプリマ―新書、2021年。


ハードカバーの専門書や、原書講読は叶わないが、せめて生きのいい哲学に学生たちが触れられる機会になれば。

Friday, December 04, 2020

【限定公開】特別講義動画「結婚の脱構築--ヘーゲル、キェルケゴール、マルクス」@明治大学大学院教養デザイン研究科

ヘーゲルに関しては自分なりにかなり、キルケゴールについては少し前進できたかなと思います(マルクスは…)。よろしければご覧ください。 

大学のイベント欄
https://www.meiji.ac.jp/humanity/index.html

ポスター(ここのURLから飛べるみたいです)

https://www.meiji.ac.jp/humanity/info/6t5h7p00003a4eyk-att/6t5h7p00003a4f1z.pdf

ちなみに、ヘーゲルの脱構築の最後が「すべてがモノ化され、契約されうる世界で、愛・性・家族はどうなるのか…?」という話で終わってしまっています。時間があれば、どうなるのか続きの話をしたかったのですが、それは以下で展開しています。

藤田尚志・宮野真生子編『家族』、シリーズ『愛・性・家族の哲学』③、ナカニシヤ出版、2016年4月30日、第1章「結婚の形而上学とその脱構築――契約・所有・個人概念の再検討」、2-37頁。

さらなる発展形は、次の論文に。岩野卓司編『共にあることの哲学と現実――家族・社会・文学・政治(フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉2 実践・状況編)』、書肆心水、2017年11月30日、現代社会における愛・性・家族のゆくえ――ドゥルーズの「分人」概念から出発して」、37-81頁。


Thursday, September 12, 2019

9/22 合同ゼミ第31回「淫蕩の哲学に淫してみる」

日時:9月22日(日)12時~
場所:九州産業大学 2号館 2W401教室

第一部:ワークショップ「淫蕩の哲学に淫してみる」12:00~
 小笠原史樹(福岡大学)「生まれくる誰か、快楽、かけがえのなさ――トマス・アクィナス『悪につい』のルクスリア(淫蕩)論、あるいはその変奏」(仮)
 佐藤実(大妻女子大学)「「淫蕩」なlyric、「淫」なmusicー中国思想における「淫蕩」」
 コメント:佐藤啓介(南山大学)
 司会:藤田尚志(九州産業大学)

第二部:宮野真生子先生の思い出を語る会

懇親会も予定されております。奮ってご参加ください。
https://twitter.com/_pilate/status/1171415220662652928/photo/1

Saturday, March 31, 2018

5/12 公開シンポジウム《フローベール、スピノザ、ベルクソン ― 十九世紀フランス文学と哲学》

公開シンポジウム(Demi-Journée d’études)
フローベール、スピノザ、ベルクソン
― 十九世紀フランス文学と哲学
Flaubert, Spinoza, Bergson
— Littérature et philosophie dans la France du XIX e siècle

日時:2018年5月12日(土) 14:00~17:00
場所:立教大学池袋キャンパス 11号館 A301教室
フランス語・入場無料・通訳あり

14 : 00 – 15 : 15
ジュリエット・アズレ(パリ東大学マルヌ=ラ=ヴァレ校/立教大学招へい研究員)
「フローベールとスピノザ的眩暈」
Juliette AZOULAI (Université Paris-Est Marne-la- Vallée / Chercheuse invitée à
l’Université Rikkyo), « Flaubert et le vertige spinoziste »

休憩

15 : 30 – 16 : 15
山崎敦(中京大学) 「『ブヴァールとペキュシェ』、懐疑主義小説」
Atsushi YAMAZAKI (Université Chukyo), « Bouvard et Pecuchet, un roman sceptique »

16 : 15 – 17 : 00
藤田尚志(九州産業大学) 「ピエール・マシュレのために――『文学生産の哲学』の可能性」
Hisashi FUJITA (Université Kyushu Sangyo), « Pour Pierre Macherey — relire À quoi
pense la littérature ? »


講師略歴:ジュリエット・アズレ氏はパリ高等師範学校出身。ルーアン大学
文学博士。2013年よりパリ東大学准教授。フローベールを中心としたフ
ランス十九世紀文学を、同時代のフランス哲学やドイツ・ロマン派との
関連で読み解く野心的な研究を行っている。主な著書に『フローベール
作品における魂と身体(L’Âme et le Corps chez Flaubert)』(2014)、『
フローベール辞典(Dictionnaire Flaubert)』(共編著、2017)など。

主催:立教大学文学部文学科フランス文学専修
司会:菅谷憲興(立教大学)
通訳:黒木秀房(立教大学兼任講師)
問合わせ先:03-3985- 3392(学部事務一課)/菅谷憲興noriokis@rikkyo.ac.jp

Sunday, February 18, 2018

自由な空間を守るために

立て看・吉田寮問題をめぐる動きについて、私も微力ながら告知に協力させていただきます。

私たちを取り巻く、息苦しい閉塞状況に対して、小さくても声をあげ続けていかなければいけないと思っています。

署名運動に賛同いただける方はぜひよろしくお願いします。
https://sites.google.com/view/tatekan-yoshidaryo/home

下記は過日行なわれたシンポジウムの報告(をメールにてお送りいただいたもの)です。

***

「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」シンポジウム呼びかけ賛同人と署名賛同者のみなさまへ、

「立て看・吉田寮問題から京大の学内管理強化を考える」シンポジウムでは「緊急アピール」にご賛同いただき、まことにありがとうございました。

シンポジウムの方、2月13日に予定通り挙行し、総勢450名近い聴衆を集め、立ち見の出る大盛況のうちに晴れやかに終了することができました。
当日は、吉田寮生および関係者、立て看当事者、学内教員として駒込武教育学研究科教授、外部から鵜飼哲一橋大学教授から発言があったほか、来場の方からも多くの意見表明を得ることができました
なにより、多くの来場者を前にして、これまで当事者でありながらまったく大学内の意志決定プロセスから排除されてきた吉田寮生、立て看設置者の側から、現今の京大当局が進めている学内管理強化の不当性について具体的に説明し、理解を求める機会とできたことを嬉しく思っています。
ご来場いただいた方々、重ねてありがとうございました。
シンポジウムで配布した一連の資料は、当シンポジウムの公式ウェブサイトの方にアップし、広く周知していきたいと思っています。シンポジウムに参加できなかった方々には、下記サイトでぜひ御覧いただけると幸いです。

シンポジウムの告知と署名運動の開始から十日ばかりのきわめて短い準備期間でしたが、多くの方々の関心を惹くことができたこと、呼びかけ人と賛同者のみなさんのおかげと感謝しています。
なお、署名応募者は2月14日現在810筆を数えています。
めざましい成果と言いたいところですが、大学改革後、トップダウン形式で物事が決まってゆく現在の京都大学において、学内外の声を当局の意志決定に反映させるためには、より多くの人々から当局の学内管理強化に対する批判の声をあげてゆくことが必要です。
仄聞するところでは、京大当局も学内外からの一斉の批判を多少なりとも気にしているようではあります。
署名運動は、3月13日の〆切までいっそうの賛同者の拡大を図っていくつもりです。
今回のシンポジウムを契機に、京大当局の学内管理強化の方針を変更させることができるよう、引き続きみなさまのお力添えをお願いいたします。

2018年2月17日
京大の学内管理強化を考えるシンポ実行委員会
公式サイト:おもしろくも変人でもない京大
https://sites.google.com/view/tatekan-yoshidaryo/home

Thursday, February 15, 2018

【クリップ】奨学金「延滞者数」が多い大学 ワースト10

 受験シーズンいよいよ本番。受験生は、春からの学生生活への希望に胸を膨らませ、入試に臨む。だが、その試練を乗り越えて入学した新入生の約半数が、卒業時におよそ300万円もの“借金”を背負うという現実はあまり知られていない。奨学金の負債である。
 事態を憂慮した日本学生支援機構は、昨年4月、初めて大学別の奨学金延滞率(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)を発表した。全国751大学の奨学金貸与者数、卒業生(貸与終了者)のうち3か月以上返済が滞っている人の割合などのデータだ。
 これまで大学の序列は「合格偏差値」や「就職率」などで決められてきた。ところが、この奨学金延滞率データは、大学別の「卒業生の収入など生活力」(奨学金返済能力)を示す新たな指標であり、学生がこのデータを重視して大学を選択するようになれば従来の“大学序列”が大きく変わる可能性があるからだ。そこで、私大、国立大を含めた奨学金「延滞者数」の全国ランキングを見ていこう。
 表のように、ワースト10には日大、東海、近大、早稲田、専修などマンモス私大が並ぶ。学生数が多く、奨学金受給率が高いほど延滞者数は増える。しかし、学生数が多くても、慶應、立教、同志社のようにランク外のマンモス私大もある。ここに「返済力」の違いが浮かび上がる。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号

奨学金の大盤振る舞い 学生募集に悩む大学には“恵みの雨”

2018.02.07 16:00

「奨学金」といえば、かつては成績優秀な苦学生のためのものだった。日本育英会(現・日本学生支援機構)の貸与基準は厳しく、20年前までは大学生の約10人に1人しか受給できなかった。だが借金をしても、その後の「大卒」の価値はそれを補って余りあるものだった。大手企業に職を得れば、返済に困るような事態にはならなかったからだ。

 しかし、いまや奨学生の実態は大きく変わった。国の奨学金制度が拡充され、成績や親の収入などの基準が緩和され貸与枠も大幅に拡大された(※)。“苦学生”でなくとも奨学金を借りやすくなったのだ。

【※1999年度の成績要件の緩和、貸与月額の選択制導入が実施されて以降、段階的に要件が緩和されてきた。昨年にも1学年の貸与人数を4.4万人増やす(第1種)などの大幅な緩和がなされている】

 地方から上京して都内の私大に通うMさん(21)は1年時から奨学金を借りた。

「仕送りが足りないので日本学生支援機構から限度いっぱいの月額12万円の奨学金を受けています。サークルの幹事をやって、ゼミもあるからあまりバイトはしていません。奨学金がなかったらバイトに追われていたんじゃないでしょうか」

 そう淡々と話すのが今時の奨学生の姿なのだ。“誰でも借りられる”ようになり、奨学生は激増した。奨学金の受給者数は20年前の約46万人から現在(2017年度)は130万人まで増え、いまや大学生の2人に1人(約51%)が何らかの奨学金を受けている。受給総額は年間1兆円を超えた。

 そうした大盤振る舞いで一番の恩恵を受けているのは、学生よりも大学だ。政府の規制緩和で大学・学部新設が容易になり、この20年間で全国に約200校の私立大学が新設された。学生募集が難しい新設私大にとって、奨学生急増は“恵みの雨”となっている。ある地方私大顧問が語る。

「昔なら経済的理由で進学をあきらめていた学生が大学で学ぶようになった。そのおかげで地方の中規模以下の私大にも学生が集まって運営が成り立っている。もし、奨学金がなければとっくに倒産していてもおかしくない大学は多い」

 学生が借金(奨学金)で学費を払い、雨後の筍のように増えた私大の経営を支えているのである。大学側にすれば、学生がいくら借金を負っても、卒業で送り出せば“関係”は終わる。しかし、奨学生にとっては大学時代が“楽な学生生活”になるのと引き換えに、就職した途端に“苦しいサラリーマン生活”が待ち受けることになる。

 月12万円の有利子奨学金(最高3%の変動金利)の貸与を受ける前述のMさんの場合、4年間の貸与額は500万円を超える。利息を合わせると最大約700万円になり、月々2万円以上を20年にわたって返済しなければならない。新社会人のスタートから重荷を背負う。

 そのため、大学卒業後5年以内に3か月以上の返済延滞に陥った人数は1万8190人(2015年度末時点)に達する。滞れば一括返済を迫られ、「奨学金破産」はいまや大きな社会問題となっている。

※週刊ポスト2018年2月16・23日号

Tuesday, January 23, 2018

授業というもの

今日は試験であった。試験監督から戻ると、研究室の扉にポストイットが貼ってあった。私の授業を受けていたある学生からであった。


単位がすべてではない。大学教育にとって当たり前のことが、経済効率至上主義の前に崩れていく。

履修者数の少ない授業は削減、はかなり当たり前になってきている。

そのうえ、今は、履修者のうち、単位取得者の割合が少ないと、つまりあまりに単位を落とすものが多いと、目を付けられ、簡単な授業・試験にするよう「是正」される。

だが、履修者数が少なくとも、厳しい授業・厳しい試験で単位が取れなくとも、学生にとって「良い授業」というものは厳然と存在するのだ。

試験期間中に思うことは多い。それはたぶん、大学をめぐる諸問題を考えようとする哲学者にとって大切なことだ。

Wednesday, August 23, 2017

8/31, 9/3, 9/10『反「大学改革」論』出版記念イベント3つ

そろそろイベントが近づいてまいりました。みなさん、ぜひ足をお運びください!

1.ナカニシヤ出版 『反「大学改革」論 若手からの問題提起』刊行記念トークショー
 渡邉浩一さん✕井上善和さん✕坂本尚志さん
“大学の現状について語り合いませんか?”

日時:2017年08月31日(木)19時~
場所:丸善京都本店
https://honto.jp/store/news/detail_041000022752.html

坂本さん、私の知っている姿と全然違う。。

2.これからの大学はどうなるの?『反「大学改革」論』+『群島と大学』刊行記念トークセッション
日時:2017年9月3日(日)19時~

会場:誠光社(京都、河原町丸太町)
http://www.seikosha-books.com/event/2635

とても面白そうな企画です。


3.広島大学高等教育研究開発センター(RIHE)公開研究会:『反「大学改革」論』を巡って―教育・研究とガバナンスの現在
日時:2017年9月10日(日)13:30~
会場:広島大学東京オフィス
上記の三つのイベントについて詳しくは、群馬大学の二宮先生のブログまで。http://sakuranomori.hatenablog.com/entry/2017/07/27/224003

Tuesday, May 30, 2017

『反「大学改革」論』朝日新聞広告に掲載予定です。

編集の米谷さんから伺ったのですが、明日(6月1日)、朝日新聞朝刊東京版一面下広告に『反「大学改革」論』書籍広告が3点セット(『哲学しててもいいですか』『お笑い芸人の言語学』)の広告として(小さくですが)掲載されるそうです。関西・西日本は翌日(6月2日)掲載の予定だそうです。

残念ながら、小さな広告のそのまた小さな扱いではありますが、1回分でもかなりの価格設定がされているものですので、みなさまにおかれましても、お手すきの折にでも、ご確認いただけましたら幸甚です。

Tuesday, May 16, 2017

5/22 Joe Morrison教授講演会「Second Philosophy and logical contingentism」@千葉大学

日本哲学会より案内が参りましたので、ここにも告知しておきます。

***

以下の講演会についてご案内申し上げます。
講演者のMorrison教授は、現在イギリス哲学会(British Philosophical Assocation)のディレクターを務めておられ、今回は日本哲学会男女共同参画・若手研究者支援ワーキンググループのゲストとして来日されます。
東北大学(5/24)、京都大学(5/26)でもご講演いただく予定ですが、関東地区では以下の会だけになりますので、ぜひ奮ってご参加ください。

● 日時: May. 22 (Monday), 16:00-18:30
● 場所:
千葉大学 人文社会科学系総合研究棟2F マルチメディア会議室
http://www.chiba-u.ac.jp/campus_map/nishichiba/
● 話者:Prof. Joe Morrison (Queen’s University Belfast, UK)
● 言語:英語
● タイトル:Second Philosophy and logical contingentism
● Abstract:
Penelope Maddy argues that logical truths are only contingently true. Her premises include: (1) logical truths are truths about stable features of the world, (2) while humans may struggle to detect worldly features which don’t exhibit such structuring (and struggle to reason non-classically about the world), this is not because such structures necessarily obtain, but because (3) our cognitive abilities have developed in response to these (relatively abundant) structures in our environments. However, (4) not all parts of the world exhibit the kinds of stable structures which would ground classical reasoning, but instead possess structures which might ground non-classical reasoning. (5) It’s possible that an organism could reliably detect and infer on the basis of those kinds of structures instead, in a way which might count as knowledge, and so (6) might evolve to exhibit and exploit non-classical reasoning. It follows that such organisms could come to know non! -classical logical truths.

My line of response to Maddy’s argument concerns the issue of how she conceives of the link between inferential abilities (reasoning) and the domain of logical facts (worldly structures). I argue that the relationships between the types of inferential habits that organisms might in fact adopt and the kinds of structures that might exist in the world is weaker than Maddy requires for her argument for logical contingentism to wor

Saturday, April 15, 2017

いただきもの(2016年12月-2017年3月)

以下のご著書、ご論考をご恵投いただきました。あらためて感謝申し上げます。ありがとうございます。

2017年03月
★上野修・米虫正巳・近藤和敬編『主体の論理・概念の論理――20世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』、以文社、2017年2月25日。
 上野先生・坂本さんよりご恵投いただきました。アルチュセール、ラカン、カンギレム等を入口に、概念の次元では、カヴァイエスやヴィユマン、主体の次元では、ミレールやバディウ、ドゥサンティ、生の次元では、ゲル―などに関する、20世紀フランス哲学史・エピステモロジー研究の掘り起こし・基礎研究にもつながる重要な論考が有機的に配置されていて、3年間の充実した研究活動が推察されました。これからじっくりと拝読させていただきます。これまで上野先生のご研究は単著を通じて拝読してまいりましたが、グループでのご研究は、これまでとはまた違うインパクトをもって迫ってまいりました。また、坂本さんから何度か『分析手帖』に関するご研究のことを伺っておりましたが、このような形で結実するとは。私も複数の関心を抱いている研究者として、今後どのような方向に向かわれるのか楽しみでなりません。

★森元斎『アナキズム入門』(ちくま新書、2017年3月10日)
 今まで以上に生き生きとした筆致でぐいぐい読ませる手法は、帯の栗原さんもそうだけど、さすがアナキストですね。中身はかなり良心的できちんと歴史を辿っている教科書で、しっかり勉強もできる。「使命感に駆られて書いた」良書「いつも心に革命を」に共鳴できるひとがいつもいると思います。

『理想』特集:九鬼周造(No.698、2017年3月5日)
 福大の宮野さんよりご恵投いただきました。最後の一文「九鬼哲学を全体として見たとき、寂しさや諦めといった喪失の感覚が色濃く漂っていることに気づく。・・・喪失のうえに、実存は成立し、この私として生きていく」は非常に重く、しかし実に哲学的だと思いました。「無力な超力」は大学論を考えるにあたっても、結婚論を考えるにあたっても、鍵となる概念である気がします。私もまさに考えたい概念です。

★杉本隆司『民衆と司祭の社会学――近代フランス〈異教〉思想史』(白水社、2017年3月15日)
 とうとう、これまでのご研究の(もちろんご本人的には、ひとまずの、でしょうが)集大成が出ましたね。フクシマの問題から解き起こすあたり、いかにも杉本さんらしいなと共感しつつ読み進めると、18世紀末から19世紀にかけての、宗教・科学・政治・経済そして思想・哲学が複雑に絡み合う時代状況、「何を信じてよいか分からない状況で社会全体が信ずべき根拠はどこにあるのか、という社会的な信頼の在りかの問題」(8頁)と通底していることが見えてくる。宗教と政治の錯綜した関係に目を向ける、とりわけ社会学思想の形成の土壌として、実証精神や合理主義の思想的系譜だけでなく、18世紀啓蒙期からすでに胎動していた「世俗的な宗教性の系譜」をも重視しようとする姿勢は、きわめて独創的であり、ド・ブロスの翻訳・フェティシズム研究と相まって、杉本さんのご研究の真価でもあると感じました。こうして一冊にまとめられると凄味があり、本物だなと感じます。 

2017年02月
★中里まき子編『文学における宗教と民族をめぐる問い』、朝日出版社、2017年2月。
 これで『トラウマと喪を語る文学』(2014)、『無名な書き手のエクリチュール:3.11後の視点から』(2015)に続いて三冊目のご編著となりますね。着実にお仕事を進めておられる様、遠くから賛嘆しております。


2016年12月
★東京大学仏語仏文学研究会『仏語仏文学研究』第49号(塩川徹也先生古稀記念特集号)と抜き刷りを受け取りました。
★慶応義塾大学出版会編集部の村上文さんより、柏端達也先生の『コミュニケーションの哲学入門』(慶應義塾大学三田哲学会叢書、2016年12月30日)と山内志朗先生の『小さな倫理学入門』(慶應義塾大学三田哲学会叢書、2015年10月20日)をいただきました。
★南山大学社会倫理研究所編『社会と倫理』第31号(2016年11月30日)をいただきました。

Friday, March 31, 2017

2016-2017年度の研究業績(出版)

今年もよろしくお願い致します。

いろいろありますが、明るくポジティヴに生きていければと思っております。


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研究課題は次の三つに分かれる。
A.ベルクソンを中心とするフランス近現代思想研究、
B.結婚の形而上学とその脱構築、
C.哲学と大学

本年度の研究成果として、
A:共編著1冊④・共著1冊⑥・論文1本⑪、
B:共編著3冊①~③・共著2冊⑤⑧・論文1本⑩、
C:共著1冊⑦・論文1本⑨

(1)著書・論文:⑨を除き、執筆はすべて単独。共編著4冊①~④、共著4冊⑤~⑧(うち2冊⑦⑧は刊行予定)、論文3本⑨⑩⑪。日本語10、英語1。

(2)研究発表・トークイベント:研究発表はすべて単独で6回①~⑤⑯、トークイベントは7回⑥~⑫、コメントは3回⑬~⑮。日本語13、フランス語2回①③、英語1回⑭。

(1)著書・論文等 

①宮野真生子との共編著『愛』、ナカニシヤ出版、2016年4月28日。

②宮野真生子との共編著『性』、ナカニシヤ出版、2016年4月28日。

③宮野真生子との共編著『家族』、ナカニシヤ出版、2016年4月30日。

④平井靖史・安孫子信との共編著『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する――現代知覚理論・時間論・心の哲学との接続』、書肆心水、2016年11月。

⑤岩野卓司編『共にあることの哲学――フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉1 理論編』、共著、書肆心水、2016年4月。

⑥鹿島徹ほか編『リクール読本』、共著、法政大学出版局、2016年7月25日。

⑦藤本夕衣ほか編『反大学改革論〔仮題〕』、ナカニシヤ出版、2017年3月刊行予定。

⑧岩野卓司編『共にあることの哲学――フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉2 実践編』、共著、書肆心水、2017年3月刊行予定。

⑨「「役に立つ」とはどういうことか?――デリダ、プラグマティズムから考える哲学的大学教育論」、単独論文、『2015年度 第21回FDフォーラム 報告集』、公益財団法人大学コンソーシアム京都、2016年6月、236-246頁。

⑩「根源的倫理学とは何の謂いか――ハイデガー『ヒューマニズム』書簡に関するノート」、単独論文、東京大学仏語仏文学研究会『仏語仏文学研究』第49号:塩川徹也先生古稀記念特集号、2016年10月19日、451‐458頁。

⑪ “Bergson(-ism) Remembered: A Roundtable”, Journal of French and Francophone Philosophy - Revue de la philosophie française et de langue française, Vol XXIV, No 2 (2016), p. 221-258.共著論文

(2)研究発表 

①エラスムス・ムンドゥス・ユーロフィロゾフィー国際シンポジウム 「Deleuze, n... sexes et le sujet larvaire」:2016年6月6日(月):法政大学

②日本フランス文学会2016年度秋季大会ワークショップ:「18世紀フランス文学における結婚の形而上学とその脱構築――レチフの場合」:2016年10月23日(日):東北大学

③PBJ第8回国際シンポジウム≪『物質と記憶』を診断する≫:「ベルクソンの未来――『物質と記憶』における場所の論理・超図式論・憑在論」:2016年11月13日(日):大阪大学

④第23回 新潟哲学思想セミナー《家族の「きずな」を哲学する》:「家族の脱構築――ヘーゲル、デリダによるアンティゴネー読解」:2016年11月18日(金):新潟大学

⑤西日本哲学会第62回大会シンポジウム《ハイデガーとベルクソン》:「ハイデガーからベルクソンへ――伸張(Dehnung)と振動(Schwung)」:2016年12月4日(日):熊本学園大学

⑥『愛・性・家族の哲学』刊行記念キックオフトークイベント≪愛・性・家族を哲学する≫ (宮野真生子先生(福岡大学)とともに):2016年5月1日(日):天神MMTビル6階 TKP)

⑦刊行記念第2弾トークセッション≪ボク/ワタシたちをつなぐもの 愛・性・家族のポリティクス≫(王寺賢太先生(京大・人文研)、森川輝一先生(京大)、宮野真生子先生とともに):2016年5月13日(金):京都大学生協

⑧第3弾イベント≪なにがぼくらをつなぐのか? 「シェア」から愛・性・家族を考える≫(久保田裕之先生(日本大学)、宮野真生子先生(福大)とともに):2016年5月27日(金):神楽坂モノガタリ

⑨刊行記念イベント第4弾・公開シンポジウム≪性的身体と自己決定――『愛・性・家族の哲学』をめぐって≫(古賀徹(九大)、蔵田伸雄(北大)らとともに):2016年6月18日(土):北海道大学

⑩刊行記念第5弾トークショー≪愛のぶっとんだ思想史≫(近藤智彦先生(北大)、宮野真生子先生(福大)とともに):2016年6月19日(日):紀伊国屋書店札幌本店1階インナーガーデン

⑪刊行記念シンポジウム≪聖愛と俗愛――西欧思想は愛と結婚をどう考えてきたのか≫(永嶋哲也先生(福岡歯科大学)、佐藤啓介先生(南山大学)、津田謙治先生(西南学院大学)、小笠原史樹先生(福岡大学)、宮野真生子先生(福岡大学)とともに):2016年7月9日(土):西南学院大学

⑫刊行記念第8弾イベント・ライブトーク≪愛なし?性なし?家族なし?――結婚の迷い道を哲学する≫(宮野真生子先生とともに):2016年9月23日(金):福岡パルコ新館6Fタマリバ6

⑬日仏哲学会ワークショップ≪ベルクソン的二元論を再考する≫(杉山直樹先生(学習院大学)、米田翼さん(大阪大学)、上野修先生(大阪大学)など):2016年9月9日(金):学習院大学

⑭PBJ第8回国際シンポジウム≪『物質と記憶』を診断する――ベルクソンと脳・時間・記憶の諸問題≫第一日〈時間と形而上学〉セッション1(カミーユ・リキエ先生(パリ・カトリック学院)、 村山達也先生(東北大学)の発表へのコメント):2016年11月10日(木):法政大学

⑮刊行記念イベント第10弾《性――規範と欲望のアクチュアリティ》(隠岐さやか先生(名古屋大学)、重田園江先生(明治大学)へのコメント):2016年12月9日(金):東京大学駒場キャンパス

國立臺灣大學藝術史研究所主催・國際學術工作研討會 「近代・神話・共同體:臺灣與日本」:「家族の時間――是枝裕和作品における「分人」的モチーフ」:2017年2月17日(金):国立台湾大学芸術史研究所