達成目標
①共同体論集第2巻原稿完成版提出(2月11日)
②大学改革論再校ゲラ校正(2月12日)
⑥連載(2月19日)
※ゼミ合宿(2月23‐25日)
⑦某ベルクソン論集:コラム執筆(2月25日)
⑧某翻訳第一講後半(2月25日)
⑨2013アクト序文+論文〆切(2月末)
予定と実際
2月11日(土) 学内最重要業務(13:00-)➡12シンポ序文
2月12日(日) 大学改革論再校ゲラ校正
2月13日(月) 合同ゼミ卒論発表会
2月14日(火) 昼頃、福岡空港出発、台湾へ向かう。機内では、話題らしい『たかが世界の終わり』を見る。2時15分、桃園空港着、バスが予定よりかなり時間がかかる。4時ごろ、台北のホテル着。夕方仮眠。kitのit先生とhitのtt先生と三人で顔合わせ。點水楼・懐寧店で夕食。その後、シンポ発表準備。
『たかが世界の終わり』(グザヴィエ・ドラン監督、加=仏、2016年)
これがカンヌのグランプリとは…。ナタリー・バイ、ヴァンサン・カッセルの現在を確認できたことが収穫か。
2月15日(水) 朝、9時半にホテル出発。徒歩で、旧勧業銀行の脇を抜け、台湾総督府の外観を見た後、台北二二八記念館へ。台湾のエリート層虐殺という歴史の闇に触れる貴重な機会。ゆっくり見学した後、MRTで板南線・府中駅下車、近くの大衆食堂でお昼を食べ、林本源園邸へ。夕方仮眠。その後、kitのsm先生、ntuのtb先生も交え、今後の(日本でのイベントに関する)打ち合わせ。欣葉・忠孝店で夕食。その後、シンポ発表準備。
2月16日(木) 朝、台湾大学・芸術史研究所を訪問。今後の(日台学術交流に関する)打ち合わせ。kr先生のマシンガントークに圧倒される。お昼は大学近くの雲南料理。その後、ホテルに戻り、荷物をもって、まずは日本組だけで、いざシンポ会場のある新竹へ。台北(14:11)から新竹(14:45)まで高鐵で30分ほど。そこからさらにタクシーでホテルまで30分ほど。夕方仮眠。夕食は何の手がかりもないままに、潮味決というカレー風味の鍋?の店で。アルコールは置いていないが、買ってきて持ち込んでもいいとのこと。その後、シンポ発表準備。
2月17日(金) 朝、8時20分ホテル出発。30分ほどかけてタクシーで会場へ。9時に開始のはずが、台北組の合流が遅れ、結局9時半から開始。冬のイベント第五弾!(私にとっての)
国際学術工作検討会《近代・神話・共同体:台湾與日本》
国立台湾大学芸術史研究所+京都工芸繊維大学主催
(以下敬称略)
①平子友長(一橋大学名誉教授)「マルクス主義と主体性論争」
②黄麗玲(台大・建築與城郷研究所)「台湾大学早期校園発展與城市的関係:漸進式規画或全盤理性観点?」※英文発表
③澤田美恵子(京都工芸繊維大学)「日本語における共在感覚」
④藤田尚志(九州産業大学)「家族の時間:是枝裕和作品における「分人」的モチーフ」
⑤李淑珠(明志科技大学)「防府市所蔵陳澄波作品《東台湾臨海道路》について」※日本語発表
⑥蒋雅君(中原大学建築学系)「歴史博物館之「国族」象徴建構與解構」※英文発表
⑦魏徳文(南天書局)「日船両触礁事件の台日関係:チョプラン漂流記」※日文発表
みなさんそれぞれに興味深い発表でしたが、それらを貫いて印象に残った言葉は「軸線」という言葉でした。これは②や⑥の建築に関する発表で用いられたものでしたが、シンポジウムのタイトルに掲げられた三つの言葉「近代」「神話」「共同体」をこの一言で象徴させて良いとすれば、7つの発表はいずれも「いかに近代=神話=共同体の軸線をずらすか」ということであったと言えると思います。
①は、マルクス主義(軸線)の課題を乗り越えるべく無の哲学といかに対峙(ずらし)するかを模索した、梅本克己の田辺哲学批判を中心とする主体性論争の再読解であったし、
②は、台大の発展が、唯一のマスタープラン(全般理性観点=軸線)に基づくものではなく、種々雑多な特殊状況への適応(漸進式規画=ずらし)の結果であったと主張する。
③は、フランス語(bonjour=良い一日を)や中国語(你好=あなたは)のように聞き手に働きかけ相手の情報を得る言語(軸線)に対して、日本語(こんにちは)が話し手の「今ここ」の状況をことさらに言明し、共在感覚を確認する言語だが、実はこの感覚は普遍的なものではないか(ずらし)と問う。
④は、近代的主体性を担う個人概念(軸線)に対して、現代的「分人」概念を対置し、是枝作品にみられる現代家族の中にその顕現を見ようとしていた。
⑤とそれをめぐる議論は、陳澄波の最近発見された作品の特徴を丁寧に紹介することで、その中に西洋的な表現主義(軸線)とは異なる独創性(ずらし)を見ようとしていたし、
⑥とそれをめぐる議論は、歴史博物館の改装がいかに「国族」という象徴的概念の神話(軸線)によって規定されていたかを解き明かす「神話学」の必要性を説いていた。
⑦は、きわめて貴重な19世紀初頭の漂流記を丹念に紹介し、国家レベルの関係(軸線)とは異なる、いわば漂流的観点(ずらし)から日本と台湾の関係を見ようとする。
「軸線」に対する「ずらし」、「交流」に対する「漂流」が全体を貫くトーンであったと言えるかもしれません。私たちの国際交流もまた、草の根レベル、個人レベル(あるいは分人レベル)の「漂流」であるかもしれませんが、あるいはそのほうが、形式ばった国際「交流」よりも実り豊かなものたりうるかもしれません。…といった総括コメントを総合討論の終盤にお話しさせていただきました。
その後、「戸外参観」として、近くの別の――台大関係者らしき方の――家廟と家墓(といっても、沖縄のものより大きい)を見学させていただく。台湾の家族制度の現在の一断面としてきわめて興味深い。夕食は、新竹湖口老街の「湖口風情」というお店で、シンポ参加者たち10名ほどと。食後は街路散歩。台大の先生は「半ばつくられた伝統の再構築だから、半分しか心入ってないよ」とおっしゃっておられました。確かにそうかもなと思いつつ、しかし、観光客が私たちだけ、という贅沢な瞬間を享受できたこともあってか、十分幻想的で美しいものでした。あっさりと一次会で終了。8時半くらいにはホテルに到着、就寝。
2月18日(土) 朝4時起床、4時半ホテル発、タクシーで5時過ぎに空港着、5時半にチェックイン完了、8時過ぎのフライト、機内では先生方に薦められた『お父さんと伊藤さん』を半分くらいまで鑑賞、2時間+時差1時間で11時過ぎに帰国➡疲れて寝てしまう➡連載
『お父さんと伊藤さん』(タナダユキ監督、2016年10月公開)※半分までの印象
上野樹里の演じる主人公の女性には、イマドキの30代半ばの女性のリアルがあるのだろうか?適度に自分勝手で、適度にだらしなく、といった女性像を描きたいように見える。リリー・フランキーの魅力にかなり頼ろうとした印象。散発的には彼個人の魅力が見えるが、映画としては、彼の捉えどころのなさがうまく活かされていない印象。藤竜也の元・教師役はちょっと作られ過ぎ、カリカチュアが強すぎる印象。しかし、後半ですべてよくなっていくのかもしれない。
2月19日(日) 連載➡翻訳作業
2月20日(月) 連載➡翻訳作業
⑩某誌レチフ論文ブラッシュアップ(3月末)
⑪レチフ別論文執筆(3月末)
⑫某ベルクソンWS@米・メンフィスの予稿(2018年秋に延期)