Tuesday, May 25, 2010

5/29『哲学への権利』をめぐる仏文学会ワークショップ@早稲田大学

西山雄二さんと水林章先生――ルソーの結婚論では『幸福への意志』(みすず書房、1994年)を勉強させていただきました――とご一緒させていただきます。私自身は大したことは言えないと思いますが、あとのお二人のお話を楽しみにお越しいただければ幸いです。

映画『哲学への権利』15.45-17.15
討論17.15-18.15

大会のプログラムに掲載された告知文

映画『哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡』は、1983年にジャック・デリダやフランソワ・シャトレらがパリに創設した半官半民の研究教育機関「国際哲学コレージュ」をめぐる初のドキュメンタリー映画である。映画は、歴代議長ミシェル・ドゥギー、フランソワ・ヌーデルマン、ブリュノ・クレマン、現副議長ボヤン・マンチェフ、新旧のプログラム・ディレクターであるカトリーヌ・マラブー、フランシスコ・ナイシュタット、ジゼル・ベルクマンへのインタヴューから構成される。この研究教育機関の独創性を例として、本作品では、収益性や効率性が追求される現在のグローバル資本主義下において、哲学や文学、芸術などの人文学的なものの可能性をいかなる現場として構想し実践すればよいのかが問われる。本作で提示されるのは、大学の余白に研究教育制度を創設することの可能性、知の無償性の原理、教員の民主的で平等な関係、カリキュラムやプログラムの理念、学際性と哲学の関係の問い、経済的価値観と人文学の関係、研究教育の場所の問い、デリダの脱構築思想と教育の関係といった多様な論点である。関係者7名へのインタヴューを通じて描き出され、問われるのは、大学、人文学、哲学の現在形と未来形である。上映後の討論は、上述した主題から出発して、フランスの共和制理念と教育の関係、人文学的教養の新たな形、哲学と制度の問いなどの討議に当てられる。哲学者デリダがパリに創設した国際哲学コレージュを主題とした映画上映ではあるが、しかし、本ワークショップの趣旨はあくまでも、現在の日本において大学や人文学の現状を診断し、討議を通じてその展望を切り開くことである。

1 comment:

agalma said...

水林章先生は一時間半でも退屈ではないと仰つたがインタヴュばかりで非常に退屈だつた。
水林先生のコメントや会場からの質問は適切で、こちらの方に時間を多く割く可きだつた。CIPH現場の映像も追加して改良しないと世界各地での上映に意味があるとは到底思へない。