***一部抜粋
この年代になってさらに若手の大きな壁になっていくというのは、本当に将棋への情熱を持ち続けないとできないですね。棋士は現役時代が長いので、やっぱり情熱を持ち続けることの大変さというのは棋士なら誰でも分かりますし。
羽生さんに関してはそんな杞憂はまったく無用で、ただ将棋への好奇心をただひたすら持ち続けていましたね。その証明として、常に最先端の将棋で若手と張り合ってきた。彼の中に「最先端の将棋を追いかけることで探究心をより持ち続けられる」という信念があるようで、だから衰えないということだと思いますね。
ただ佐藤康光さん、森内俊之さん、この二人の存在、また木村さん、丸山元名人をはじめ、同世代が集団で追いかけてきたというと何ですけれども、羽生さんを緩ませなかったというのもすごく大きいと思いますね。
羽生さんが50タイトルをとった時に、信じられないかもしれないですけど、森内さんまだ無冠、ゼロだったんですよね。いったん二十代で差がつくと、棋士の場合なかなか厳しいんですけど、そこから森内さんが三十代で追走して平成名人を先んじたり、この抜きつ抜かれつのストーリーが、若い時だけでなく今に至っても続いていて、自分の中ではこういうことを見られてすごく幸せだなあと思います。
佐藤康光会長も将棋がずいぶん変革されて、自由奔放な将棋を指されますけど、佐藤さん曰く「羽生さんと普通に本格的にやっても勝てないので、負けるほうが変えるよりしょうがない」って言うんですけど、ただ佐藤さん、それでも総合勝率が7割くらい勝ってるんですよね。それだけ勝っている方が、対羽生戦に闘志を燃やして自分の将棋を変えざるを得ないという、そういった棋士として円熟期を迎えてからの変革はつらいですけど、やっぱり羽生さんの存在が多くのライバルの何かを活性化した。
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