「芸は砂の山」
師円生の言葉で、一番印象に残った言葉がこれ!とにかく、今までいろんな噺家を見てきたが、一番稽古していたのがわが円生だった。車の中とか一人になるとすぐ、「ぶつぶつ…」と噺の稽古をする。ホントによく稽古する師匠だった。その師匠に訊いた。
「芸というのは砂の山。いつも少しずつ崩れている。私の芸はここまで上がったと思っても、何もしないとずるずる、ずるずると落ちてくる。そこで、砂が崩れる分だけ稽古をして、上がってやっと前と同じ芸なんだ。だから、もし芸を上げようと思ったら大変だ。砂が崩れる以上の努力で上っていけば、その分だけ少し芸が上がる。芸は砂の山だ。何もしないと芸は下がる。」
(三遊亭円丈『ろんだいえん 21世紀落語論』、244‐245頁)
私のような疲れきった中年研究者には耳の痛い話である。トボトボとでも歩き続けねば。
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