Thursday, April 12, 2007

大学の幼児、幼児の大学

正直、どこまで幼稚化すれば気が済むのかとも思う。「がんちゃん」(岩手大学)、「しずっぴー」(静岡大学)、「ビビット」(島根大学)、「ひょうちゃん」(兵庫教育大学)…。時勢に乗り遅れないため、ポピュリズムに迎合するため。

民間企業のように、「私大と同様に」(このことの帰結をじっくり考え抜いた者が果たしていたのか)、親しみやすく、学生に優しく、限りなく優しく、「学生さんはお客様で、お客様は神様です」…。目を開けて見よ、これが独法化の指し示す方向である。

≪戦前の日本の「大学の自治」対国家の闘争は、帝国大学の特権的基盤のうえに立ってはじめて可能であったのであり、それは帝大が日本においては例外的な、本当の意味の、保守主義の砦であったからである。早くから「大衆化」し、「国民化」した私大は、大衆を背景にしたファシズム反動の前に、帝国大学よりもはるかにもろかったし、むしろ便乗しさえした。≫(丸山真男、『自己内対話』、223頁)

一方で、望ましい改善の動きも見落としてはならないだろう。認識においては悲観主義者、意志においては楽観主義者たれ、とはルカーチ経由のロマン・ロランの言葉であっただろうか。


東大キャンパスに保育園オープン、女性研究者ら支援
4月4日11時31分配信 読売新聞

東大・本郷キャンパスにオープンした「東大病院いちょう保育園」で遊ぶ子どもたちを見守る小宮山東大総長(左)

 子供のいる教職員をサポートするため、東京大学の本郷キャンパス(東京都文京区)内に今月から開かれた「東大病院いちょう保育園」の開園式が4日行われた。

 東大の教員に占める女性の割合は9・3%(昨年5月1日現在)にとどまる。女性研究者を育成するには、女性が働きやすい環境整備が欠かせないとして、大学が直接運営する保育所を各キャンパスに設立することにした。

 いちょう保育園はその第1号。計6人のスタッフで運営され、一時保育も含めた定員は32人。当面は看護師ら病院職員を対象に小学校就学前までの子供を受け入れ、現在7人が入園している。将来は、本郷キャンパス内にもう1園を開設するなど3園を作り、教職員や大学院生や学部生の子供を受け入れる方針だ。


<広報合戦>10大学が広告代理店などと業務提携
4月4日3時3分配信 毎日新聞

 国立の全87大学のうち8大学が学外から広報担当者を受け入れ、10大学が広告代理店などと業務提携をしていることが、文部科学省の初の調査で分かった。07年は大学・短大への全志願者数と全入学者数が同じになる「大学全入時代」といわれる。中には「マスコット」を作成する大学も現れ、国立大の広報合戦が過熱している。

 文科省は06年3月以降、国立の87大学を対象に、広報活動の状況を聞いた。 外部から広報担当者を受け入れていたのは▽東京大▽東京外国語大▽東京海洋大▽静岡大▽神戸大▽熊本大▽北陸先端科学技術大学院大▽奈良先端科学技術大学院大の8大学で、広告代理店や私立大学、大手予備校などから招いた。

 また、北海道大や東北大、一橋大など10大学は広告代理店や情報誌、新聞社などと業務提携。大手広告代理店と提携した九州大は「大学のブランド戦略を検討するうえでのアドバイス、資料提供」を目的に挙げている。

 このほか▽岩手大▽静岡大▽兵庫教育大▽島根大は、大学独自のマスコットを作り、「がんちゃん」(岩手大)などの愛称をつけてPRしている。

 河合塾と旺文社から計2人の広報担当者を招いた静岡大は「(04年の)国立大法人化と大学全入時代を前に、入試や広報でさまざまな取り組みが必要になったが、今までの教職員は何をすべきか具体的なイメージが描けなかった。入試改革もマスコット作成も、大学のイメージアップ戦略の一つ」と話した。

 文科省は「これまで国立大は入学試験の広報が中心だった。しかし、法人化以後、私大と同様に大学全体の広報活動をするようになっている。イメージアップは、優秀な学生確保や産学官連携などの際のベースになる」と分析。文科省は各大学の参考となるよう、3月末に調査結果を各大学へ送付した。【高山純二】


<社会意識調査>「悪い方向に」教育がトップ 内閣府発表
3月31日19時31分配信 毎日新聞

 内閣府は3月31日、社会意識に関する世論調査結果を発表した。現在の日本の状況について「悪い方向に向かっている」と思う分野を複数回答で聞いたところ、教育が前回(06年)から12.3ポイント増え36.1%となり、98年にこの質問を盛り込んで以来最高で、初のトップとなった。高校の履修不足問題や、相次ぐいじめ自殺などが影響したとみられる。医療・福祉31.9%、地域格差26.5%も10ポイント以上の増加で過去最高を記録した。

 「政治や社会情勢の影響を受けやすい調査」(内閣府)だけに、安倍政権の課題を浮き彫りにした形だ。 調査は1~2月、全国の成人男女1万人を対象に面接方式で実施。5585人(回収率55.9%)から回答を得た。

 教育と答えた人を男女別にみると、男性36.7%、女性35.6%。年代別では男女とも30代がトップ(男性47%、女性47.8%)で、20~40代の男女がいずれも4割を超えるなど、子育て世代の教育不安を裏付けた。

 教育に、前回トップの治安35.6%(前回比2.7ポイント減)、雇用・労働条件33.5%(同4.6ポイント増)が続いた。急増した医療・福祉(31.9%)と地域格差(26.5%)はそれぞれ、5位と8位だった。

 小泉政権で増加の一途だった外交は前回比8.9ポイント減の22.4%で、日中、日韓首脳会談の再開といった安倍外交を国民が評価していることをうかがわせた。

 一方、「良い方向」(複数回答)は(1)科学技術19.7%(2)通信・運輸18.9%(3)医療・福祉16.5%――の順だった。【渡辺創】

1 comment:

Anonymous said...

>>
認識においては悲観主義者、意志においては楽観主義者たれ、とはルカーチ経由のロマン・ロランの言葉であっただろうか。


グラムシの言葉ですね。
アルチュセールとサイードがモットーにしていたと思います。

浅田彰の『構造と力』の序文の最後に印象的に引用されていましたね。