今日本格的に大学の授業が始動。これからまた、長い一年が始まる。
今年の大きなテーマは「適度に抜く」。手を抜く、ということではもちろんない。
うまい寿司は固く握ってはダメで、適度に空気を含んでいなければならないという。フランス語で言うaéré(空気の流通のよい、構造が密でない、透いた、余白のある、空気のように軽い)、である。
いい授業とは、適度にaéréな授業なのだと思う。去年は、パスカルではないが、真空(空虚)を恐れて、90分間以上喋れる準備をして、授業に臨んでいた。
今年は、学生に考えさせるということ、学生が授業を完成する最後の一手を放つのだという気持ちで、学生に委ねる瞬間を少しでも多く持っていけたらと思っている。誤解のないように繰り返すが、これは手を抜くということとは似て非なる作業である。去年よりもう少し多く学生と面と向かう、ということでもある。
本当に学生と面と向かう、自分の言葉で、自分の考えで相対する、その難しさを理解し、それを恐れないこと。どんな学生の、どんな球種にも対応すること。先生稼業は、傍から見ているほど甘くはない。
No comments:
Post a Comment