Saturday, April 15, 2017

いただきもの(2016年12月-2017年3月)

以下のご著書、ご論考をご恵投いただきました。あらためて感謝申し上げます。ありがとうございます。

2017年03月
★上野修・米虫正巳・近藤和敬編『主体の論理・概念の論理――20世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』、以文社、2017年2月25日。
 上野先生・坂本さんよりご恵投いただきました。アルチュセール、ラカン、カンギレム等を入口に、概念の次元では、カヴァイエスやヴィユマン、主体の次元では、ミレールやバディウ、ドゥサンティ、生の次元では、ゲル―などに関する、20世紀フランス哲学史・エピステモロジー研究の掘り起こし・基礎研究にもつながる重要な論考が有機的に配置されていて、3年間の充実した研究活動が推察されました。これからじっくりと拝読させていただきます。これまで上野先生のご研究は単著を通じて拝読してまいりましたが、グループでのご研究は、これまでとはまた違うインパクトをもって迫ってまいりました。また、坂本さんから何度か『分析手帖』に関するご研究のことを伺っておりましたが、このような形で結実するとは。私も複数の関心を抱いている研究者として、今後どのような方向に向かわれるのか楽しみでなりません。

★森元斎『アナキズム入門』(ちくま新書、2017年3月10日)
 今まで以上に生き生きとした筆致でぐいぐい読ませる手法は、帯の栗原さんもそうだけど、さすがアナキストですね。中身はかなり良心的できちんと歴史を辿っている教科書で、しっかり勉強もできる。「使命感に駆られて書いた」良書「いつも心に革命を」に共鳴できるひとがいつもいると思います。

『理想』特集:九鬼周造(No.698、2017年3月5日)
 福大の宮野さんよりご恵投いただきました。最後の一文「九鬼哲学を全体として見たとき、寂しさや諦めといった喪失の感覚が色濃く漂っていることに気づく。・・・喪失のうえに、実存は成立し、この私として生きていく」は非常に重く、しかし実に哲学的だと思いました。「無力な超力」は大学論を考えるにあたっても、結婚論を考えるにあたっても、鍵となる概念である気がします。私もまさに考えたい概念です。

★杉本隆司『民衆と司祭の社会学――近代フランス〈異教〉思想史』(白水社、2017年3月15日)
 とうとう、これまでのご研究の(もちろんご本人的には、ひとまずの、でしょうが)集大成が出ましたね。フクシマの問題から解き起こすあたり、いかにも杉本さんらしいなと共感しつつ読み進めると、18世紀末から19世紀にかけての、宗教・科学・政治・経済そして思想・哲学が複雑に絡み合う時代状況、「何を信じてよいか分からない状況で社会全体が信ずべき根拠はどこにあるのか、という社会的な信頼の在りかの問題」(8頁)と通底していることが見えてくる。宗教と政治の錯綜した関係に目を向ける、とりわけ社会学思想の形成の土壌として、実証精神や合理主義の思想的系譜だけでなく、18世紀啓蒙期からすでに胎動していた「世俗的な宗教性の系譜」をも重視しようとする姿勢は、きわめて独創的であり、ド・ブロスの翻訳・フェティシズム研究と相まって、杉本さんのご研究の真価でもあると感じました。こうして一冊にまとめられると凄味があり、本物だなと感じます。 

2017年02月
★中里まき子編『文学における宗教と民族をめぐる問い』、朝日出版社、2017年2月。
 これで『トラウマと喪を語る文学』(2014)、『無名な書き手のエクリチュール:3.11後の視点から』(2015)に続いて三冊目のご編著となりますね。着実にお仕事を進めておられる様、遠くから賛嘆しております。


2016年12月
★東京大学仏語仏文学研究会『仏語仏文学研究』第49号(塩川徹也先生古稀記念特集号)と抜き刷りを受け取りました。
★慶応義塾大学出版会編集部の村上文さんより、柏端達也先生の『コミュニケーションの哲学入門』(慶應義塾大学三田哲学会叢書、2016年12月30日)と山内志朗先生の『小さな倫理学入門』(慶應義塾大学三田哲学会叢書、2015年10月20日)をいただきました。
★南山大学社会倫理研究所編『社会と倫理』第31号(2016年11月30日)をいただきました。

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