Friday, February 17, 2006

それから

Aix-en-Provence大学での発表を無事終えた。主催者側のご好意で、単なるdoctorantとしては恐縮するほど至れり尽くせりの待遇であった。出席者は15人くらいで、ベルクソンの思想に(とりわけ『二源泉』に)共感を示すかどうかは別として、私の発表に関しては「明晰でとても分かりやすく、はじめて『二源泉』が分かった気がした」と好意的な評が多かったので、準備に手間をかけた甲斐があった。

とはいえ、口からでまかせのお世辞などお手の物の南仏気質。彼らの評価と好意が本当に分かって嬉しかったのは、ゼミを終えたあと。フランスでは通常(少なくとも私の知る限り)、教官や発表者を交えたゼミ後の飲み会などそうそうあるものではないし(教官の性格やゼミの性質にもよるけれど)、実際、彼ら自身も「めったにしない」と言っていたが、「一緒に飲みに行こう」と誘ってくれたこと。みんな何となく残って一緒に喋りたそうだったので、これはよかった。

中身は結局、こんな感じ。

1.『二源泉』の概観
(1)ベルクソン哲学における『二源泉』の位置
(2)各章ごとの争点

2.『二源泉』の一読解:人格・情動・合理性
(1)人格と個人性:ベルクソンからシモンドンへ
(2)情動:ベルクソンとカントにおける「熱狂」概念
(3)新たな合理性に向けて:グランジェの『非合理』を批判する

***

さて、その後は徹夜続きの代償として病気で倒れたり、事務作業に集中したりとろくに勉強できなかったが、今後の予定としては:

1)3月3日にリールで若手ベルクソン研究者の集いがあるので、そこでの小さな発表の準備。ベルクソンとアリストテレスにおける運動と場所の話にしようと思っている。

2)5月18日にやはりリールの有名なマシュレ・ゼミで発表することになっているので、その準備。こちらは遂に本格的にベルクソンの身体概念についての博論の概要を打ち出すことになる。

これから数ヶ月が山場になる。

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