とあるシンポジウムの開催通知と同時に、若手の「参加者」を募集する告知もあった。
8名ほどの研究者が発表する生命倫理系のシンポに、「医療の現場で起こる倫理的な問題に対して人文学ならではの応答をしてもらいたい」との考えから、若手に対して、コメンテーターとしての発表の希望を募るという。
活躍する研究者の発表に若手がコメントをするという形式はあまり人文系では見ない気がして面白いし、発表者たちのアブストラクト集を公表し、「この人の発表にコメントしたい」という申し出を募るという手続きもいい( もちろん候補者多数の場合はなんらかの方法で選抜)。
さらにいいのは、このシンポは出版が予定されているらしいのだが、その際、若手のコメントについても優良なものを選抜して本に収録するそうだ。「制度」というとおおげさだが、こういった「システム」が一つの選択肢として広まっていけばいいと思う。
今、若手の研究者は、発表の場を必要としており、活字化の機会を欲している。これを単に業績主義だと笑うのはたやすい。だが、彼らの置かれた状況を踏まえつつ、良質なものを育成しようとしていくのなら、査読などの入口を厳格化するだけでは(あるいは逆に、就職前の若手を優先するだけでは)足りず、入口自体を多種多様化していくのでなければならないだろう。
やはり、〈制度〉と〈運動〉の問題である。
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