Thursday, November 11, 2010

11/17結婚の形而上学とその脱構築:フランス現代思想の視点から

第4回ときめき☆セミナー(大阪大学最先端ときめき推進事業 バイオサイエンスの時代における人間の未来 研究代表者 檜垣立哉)

「結婚の形而上学とその脱構築:フランス現代思想の視点から」

発表者:
パトリス・マニグリエ(エセックス大学・講師)
藤田尚志(九州産業大学・講師)

日時:2010年11月17日(水) 15:30-18:30
場所:人間科学研究科・東館303

【セミナーの概要】
ソクラテスと「悪妻」クサンチッペ。哲学と結婚は最初から折り合いが悪かったというべきだろうか。哲学は愛(エロスないしアガペー)について、性(セクシュアリティないしジェンダー)について、家族(共同体ないし市民社会)について語ること夥しいが、結婚という日常の中の日常を語りはしない。だが、愛・性・家族の結節点としての「結婚」という現象は、プラトンからパウロを経てルターまで、ルソーからヘーゲルやキェルケゴールを経てニーチェまで、ボーヴォワールからレヴィ=ストロースを経てクロソフスキーやデリダまで、常に「哲学」にとって厄介だが避けて通れない、永遠にして喫緊の分析対象であり続けた。おそらくは人類とともに誕生し、古代・中世と絶えず形を変えながら生き延び(イエのための結婚)、近代(モダン)の所産であると同時に(ロマンティック・ラブ・イデオロギーの帰結としての「恋愛結婚」)、すぐれて生権力、生政治の現代的な問題――未婚化・晩婚化・少子化、「パラサイトシングル」から「おひとりさま」まで、幼児虐待からDVまで――でもある「結婚」という制度は、脱構築されるべき一つの(あるいは複数の)形而上学を背後に隠し持っている。フランス現代思想は、結婚の問題に本質的な解明をもたらし、逆に、結婚は、フランス現代思想の臨界点を明らかにする。

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