Monday, December 05, 2011

二軍監督

たしかに、スター選手だから監督に、という大きな流れがあったことは否めない。「スター選手すなわち名監督」などという保証がまったくないのは周知のとおりである。だが、「スター選手だから名監督になれない」とも思わない。

落合はすでに名監督と呼ばれうるだろう。現役時代三度の三冠王に輝いた彼は、8年間で4度日本シリーズに進出している。巨人や阪神の巨額な投資に比べれば、中日の投資額で、この成績は対費用効果という点で充分であろう。

渡辺、秋山は80年代西武の黄金期を支えたし、梨田は長らく近鉄の正捕手であった。ヤクルトの小川以外は「スター選手」であった。巨人の原やオリックスの岡田も含め、彼らはいずれも名監督になりうる可能性を持っている。

しかし、他方で、《二軍監督を務めたことがある》というのは、かなり重要な名監督になるための条件なのではないだろうか(二軍監督を経験することなく、あれほどの偉業を達成したのは、近年では落合だけではないか)。

一昨日のワークショップ「哲学と大学II」でお会いした、高校や中学で哲学を実践していらっしゃる先生方にはぜひとも頑張っていただきたい。

 

DeNAベイ監督浮上の桑田氏 野村克也氏も復帰に太鼓判押した

NEWS ポストセブン 11月13日(日)16時5分配信
二転三転の大騒動のあとに誕生することとなった横浜DeNAベイスターズだが、はやくもその監督人事に注目が集まっている。そこで浮上した、元巨人・桑田 真澄氏の名前。ノンフィクション・ライターの神田憲行氏によれば、視野の広さというのが最近の監督トレンドであり、桑田氏はそれを「持っている」のだとい う。以下は、神田氏の解説である。

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横浜DeNAベイスターズの監督候補に元巨人の桑田真澄氏が浮上しているとスポーツ・メディアが伝えている。もともと理論家で、現役引退後も早稲田大学大学院で一年間学んだほどの勉強家でもある。

楽天イーグルスの監督時代に桑田氏と会談した野村克也氏も、桑田氏について、「遊ばしておく、もったいないな。好きだね、あれは。野球が」と深く頷きながら印象を語っていたのを私は覚えている。

もっとも当時の桑田氏は再びユニフォームを着る可能について、「アメリカでも日本でもいくつかのチームからお話はいただいたんですが、まだ勉強不足なので……」と説明して、野村氏から「あんたが勉強不足なら、他のみんなも勉強不足や」と笑われていたが。

私が桑田氏が面白いと思うのは、巨人からいったん離れて、二年間米メジャーのパイレーツでプレーしていることだ。純粋培養でなく外の水を飲んでいる視野の広さがある。桑田氏自身も野村氏に「アメリカにいればいるほど、日本の素晴らしさがわかるんですよ」と説明していた。

視野の広さ、というのが最近の監督トレンドだと思う。

今季のセパのクライマックス・シリーズに進んだ六球団のうち、ソフトバンク・秋山監督、西武・渡辺監督、ヤクルト・小川監督に共通するのは二軍監督の経験がある、ということだ。日本ハム・梨田監督も近鉄時代に二軍監督から一軍監督に昇任し、リーグ優勝に導いている。

二軍監督をすると、埋もれている選手の発掘や若い選手の育成にも目が届くようになる。ヤクルト・小川監督がレギュラーシーズンに一度も起用していなかった山田哲人をいきなりクライマックス・シリーズで「1番・遊撃手」で抜擢したのはその好例だろう。

かつて監督はスター選手が横滑りで就任することが多かった。メディアでも取り上げられるし、集客効果もあると考えられたからだ。

しかしクライマックス・シリーズという制度が始まり、監督個人の人気に頼らなくても良くなった。シーズンで二位以内に入れば本拠地で試合ができて、十分な 集客が期待できるからだ。表面的な人気より実力派監督が歓迎されるという本来の監督評価につながったともいえる。また外部からスター選手を呼んでくるより 契約金も抑えることが出来る。

二軍監督の経験が無くても、中日・落合監督はキャンプで一・二軍の壁を払って「先入観」を払拭することにつとめ、大きな結果を残した。ひょっとしてスター選手で監督になり、結果を残せたは落合監督が最後になるかもしれない。

桑田氏にはぜひ挑戦して欲しい。

落合監督 選手怒らぬ理由は「オレよりすごい選手いない…」


2004年の監督就任以来、卓抜した手腕を発揮している中日ドラゴンズの落合監督。そんな落合監督がこだわるのはあくまで「勝つ野球」である。そのためには自分なりの「理詰め」に徹し、私情を交えることはおろか、周囲へ余計な配慮などしない。
その徹底した姿勢を支えているのは、三冠王3度という、現役時代の輝かしい成績から来る自信だ。神主打法と呼ばれる独特のフォームで、批判する評 論家陣を尻目に、数々の記録を塗り替えていったという自負がある。ロッテでプレーした現役時代、先輩でエースだった村田兆治氏は、落合独特の練習法に度肝 を抜かれたという。
「打撃練習なのに、バットの芯を外したゴロばかりを打っている。どうしたんだと聞いたら、“ヒットでなくても三塁ランナーをホームインさせられるボテボテの内野ゴロを打つ練習”というので驚きました」

並の野球選手の水準を超えた打撃理論。同様に、誰よりも優れた実績を残してきた「監督論」も揺るがない。自分は舞台裏に控え、選手を立てることでも知られる。失敗した選手を責めず、叱らない。だが、それは浪花節的な理由ではない。
「オレよりすごい選手なんていないんだから、ミスした選手に怒ったってしょうがないでしょ」
こう言い切れるのも落合監督ぐらいのものだろう。
※週刊ポスト2010年11月12日号

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