Sunday, January 26, 2014

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スタッフに誓約書も!! テレ朝・加地Pが明かす“淳、結婚”の舞台裏~2014年のバラエティ界にも言及

オリコン 1月25日(土)9時10分配信
スタッフに誓約書も!!  テレ朝・加地Pが明かす“淳、結婚”の舞台裏~2014年のバラエティ界にも言及
バラエティ制作の舞台裏を明かす加地倫三ゼネラルプロデューサー
 『ロンハー』『アメトーーク!』の総合演出を務め、日本のバラエティ番組をけん引する存在である、テレビ朝日・加地倫三ゼネラルプロデューサー。2月1日に放送される、同局で活躍する9組の司会を一堂に会した特番『一夜限り!! バラエティ司会者芸人 夢の共演スペシャル!!』の演出も手掛ける。そんな加地氏に昨年の“大勝負”となったロンブー淳の結婚の舞台裏、さらに新たな地殻変動が起きると予見する2014年のバラエティ界についても言及した。

【特集】加地Pインタビュー「芸人の本音を引き出したい」

■なぜ事前に“淳、結婚”をPRしなかったのか?

――まずは昨年の“加地倫三ワークス”を振り返ってみると、やはり『ロンハー』での淳さん結婚発表が大きかったなと思いますが?
【加地倫三プロデューサー】そうですね。やっぱり大きかったですね。その後の反響も含めて。

――さすがだな!って思ったのは、放送前に一切告知をしなかったことです。普通なら視聴率を考慮して事前告知しますよね?
【加地】普通だったら……しますよね(笑)。

――でも、加地さんは事前の告知を一切しなかった。改めて加地さんって“テレビの力”をとことん信じている人なんだなぁって思いましたよ。
【加地】いやいや。あの~、単純に数字(視聴率)が好きではないと言いますか(笑)。もちろん良いと嬉しいんですよ。 嬉しいんですけど、そのために大事なモノを捨てるようなことはしたくないというか……まぁ、カッコつけて言えばですけど(笑)。

――いや、なかなか出来ることじゃないと思います。
【加地】テレビの基本って…これはバラエティに限らずですけど、「いかに視聴者を驚かせるか?」なんですよ。その原点に立ちかえるのなら、(淳の結婚は)事前に言わないということなんです。これは視聴者だけでなく、演者も驚かせたいということでもあるんですよ。ジュニアがどんな顔するんだろう?って想像するだけでおかしくてしょうがない(笑)。結婚発表の瞬間はジュニアの顔だけ見てましたよ。

■関係者全員に誓約書!! 超極秘裏に進められた淳の結婚

――でも、今の時代って、ネットやSNSの普及によって、“テレビで驚かせる”ことが本当に難しいじゃないですか?
【加地】そうですね。直ぐに情報が漏れちゃいますからね。

――漏れないように放送に漕ぎ着けられたのは、通称“加地機関”と呼ばれる少数精鋭チームでやってきたからなんでしょうね。
【加地】なんか悪そう(笑)。でも、ホント5人くらいでずっと動いてましたからね。情報が漏れないよう、収録したテープを保管する倉庫を別で借りたり。僕らがカメラ持って準備しているのをADが「今日ロケあったかな?」みたいな顔で見ているんですよ。それを欺くのに苦労しましたねぇ(しみじみ)。

――ホント“敵を欺くにはまず味方から”を実践してますね(笑)。
【加地】言うつもりはなかったけど、ポロっと(情報)を漏らしちゃったりすることはどうしてもありますからね。だから関わった人全員にも誓約書を書かせたんですよ。

――そこまでしたんですか!
【加地】はい。僕が筆ペンで「今回の企画を一切漏らさないことを誓います」って書いて、企画に関わった方全員の署名をもらって。だから、淳のご両親やお嫁さんのご両親にも当然書いてもらいました(笑)。

――アハハハハ! それ、維新志士たちの血判状に近いですね(笑)。
【加地】それぐらいしないと、やっぱり言っちゃうんですよ。とはいっても、どこかで漏れることは覚悟していたんですよ。そうなった場合はしらを切り通して“噂レベル”で落ち着かせておこうと話はしてましたね。

■加地氏が今一番気になる気鋭のテレビマンとは!?

――因みに他局で最近観て刺激になった番組などはありますか?
【加地】『世界の果てまでイッテQ!』や『うわっ!ダマされた大賞』の演出をやっている日テレの古立(善之)くん。一度対談させてもらったんですが、彼の考え方は凄いなぁって思いますね。僕よりも5歳くらい年下ですが。彼は大人から子供まで楽しめる番組を作ることが出来て、なおかつしっかりと数字という結果も出せる。

――確かに幅広い層から支持されることって本当に難しいことですもんね。
【加地】だけど、全く守りに入ってない。激しいリアクション芸だったりメチャクチャなこともやってるんですよ。イモト(アヤコ)をヒマラヤに登らせるって、凄い無茶なことなんですよ。あれは最大のリアクション芸ですね。凄すぎちゃってバラエティという枠を超えてますもん。この間の特番を観たあと、興奮して古立くんにメール送っちゃいましたよ!

■今後のバラエティの方向性がこの1年で決まるような気がする

――最後に2014年の展望を聞かせて下さい。
【加地】展望ですか……うーん。今年は例年以上に凄く大事な年だなって思います。今後バラエティがどっちの方向に向いていくのかが、何となく今年決まるんじゃないかな!? って思うんです。これはあくまで僕の肌感覚ですけど…。

――今年が新たな分岐点になると。
【加地】そんな気がします。だから、自分の中では気を引き締めて取り組まなきゃって思いますね。新しいものが生まれるか、その逆か……この1年で決まるような気がします。去年や一昨年と同じことをやっていたら皆さんにそっぽを向かれてしまうかもしれません。

――そういう意味で、2月1日に放送する『バラエティ司会者芸人 夢の共演スペシャル!!』を演出するのも良いタイミングになりますよね。
【加地】そうですね。勉強させてもらいます……あ! ひとつ勉強という部分で思い出したんですけど、今回の特番の第1部でテレビ朝日の歴代バラエティを振り返るので、過去の番組映像を改めて観たんですけど、勉強になりましたねぇ(しみじみ)。「あぁ、今のテレビにはこういう面が足りないな」とか、「今はこういう手法は使わないけど、これを使えば若手が出てこれるな」とか色々な発見があって。

――それは規制の過程で失った“足りなさ”ではないということですね?
【加地】その通りです。自主規制という部分で失ってしまった手法も勿論あるんですけど、そこは削らなくてもいいのに!っていう面も一緒になくなってしまった。ライブラリー映像を改めて観ただけでもこの特番をやって良かったなって(笑)。

――失われた手法を、今どのように活かすか? ですよね。
【加地】意外と5年くらい前の映像を観ても失われてしまった手法ってあるんですよ。だから映像観ながら「あぁ忘れてたな、この感覚」って。最初は違和感があっても、それを継続することで常識になることってあるじゃないですか? で、その流れの中で自分も無意識に常識に囚われてたなって。

――つまり、加地さんが自身の番組で提示した“違和感”も、現在ではスタンダードになってしまった。その新たなスタンダードの中では加地さん自身も“常識人”になっていたと。
【加地】だから、今はもう一回“原点”に戻す作業が必要だなと思っていますね。

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