都内で開催中の第29回東京国際映画祭内での特集上映「映画監督 細田守の世界」の26日に行われた舞台あいさつに登壇した両監督。数々の作品を挙げ、「全部そうじゃないかというくらい、父親がいないことが重要なテーマと思えるが、意識的に設定しているのか?」と細田監督から尋ねられた是枝監督は、「(自分の)父親の存在感が希薄だった」がために、「“いる父親”が書けないだけ。父親がいない環境の方が自分にとってリアルで、放っておくとそっちの話ばかりを書いてしまう」と吐露。
細田監督は、父親世代の先輩監督が描く作品の親子関係が濃厚すぎるが故に、自分たち次世代は親に対する反発心があったと推測すると、「(同世代の)是枝監督が描く父親との距離の取り方にシンパシーを感じる」と打ち明けた。また『バケモノの子』について、「不在の父を違う存在が埋めていくのが面白い」と是枝監督からほめられた細田監督は、「是枝監督のように映画の中で現代の家族や日本を描くことは映画の王道だと思うが、それをアニメでやるのは変わっている」と自虐的にコメント。さらに、「我ながら挑戦的で、アニメでこういうことをやるのは頭がおかしいんじゃないかと思いながらやっていた」とぶっちゃけて笑いを誘った。
そして、『おおかみこどもの雨と雪』に込めた思いも告白。「自分たち(夫婦)に子供はいなかったけど、(亡くなった)お母さんと過ごした時間を表現したいというか、映画を通してお母さんに謝りたいような……。そういう意味では、ヒット(させたいという欲)とかとは一番遠いところにあったと思う」と製作当時を振り返った。
現在、新作に取り組んでいる両監督。是枝監督は「“家族の作家”と言われることは居心地が良くないから違う話を書こうと思っていたけど、結局父親がいない話なんだよね」と苦笑い。一方の細田監督は「父親の映画ではないですが、父親は出てきますね」と笑みをたたえ、映画ファンの期待をあおった。(取材/錦怜那)
第29回東京国際映画祭は11月3日まで六本木ヒルズ、EX THEATER ROPPONGI ほかにて開催
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