Thursday, June 20, 2013

6/22 南山大学社会倫理研究所2013年度第5回懇話会 《恋愛と結婚のあいだ―〈自己〉と〈所有〉の迷宮》

南山大学社会倫理研究所2013年度第5回懇話会開催のお知らせ


 下記のとおり懇話会を開催致しますのでご案内申し上げます。皆様のご参加をお待ちしております。


                                                  記


日時: 2013年6月22日(土)14:00~

会場: 南山大学 名古屋キャンパス R棟3階 R32教室
       アクセス → http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/navi/nagoya_main.html?15_0_0

共通テーマ: 恋愛と結婚のあいだ―〈自己〉と〈所有〉の迷宮

全体趣旨:
 恋愛結婚が結婚のかたちとして定着した現在、「いつまでも恋人同士」の結婚が理想としばしば言われます。その一方で、「婚活」ブームから見えてくるのは、恋愛という不確定要素の多い関係ではなく、実質を伴った関係によって安定をはかろうとする人びとの存在です。恋愛ではなく結婚を、しかし、結婚後は恋人のような関係をというねじれた構造がそこにはあります。このように、恋愛と結婚のあり方は複線化し、重層化しています。しかし、それは同時に、人びとが他者と共に生きるための新たな道を模索していることの表れなのかもしれません。
 そこで今回の懇話会では、お二人の先生をお招きし、宮野先生に恋愛の方向から、藤田先生に結婚の方向から議論を進めていただき、恋愛と結婚の底流にひそむ共通の問題を明らかにすることを通じて、恋愛と結婚のあいだで開かれる別なかたちの自他関係を考える手がかりを示すことを目指します。

演題1: 近代日本の「恋愛」からみる「自己」という欲望

講師1: 宮野真生子(みやの・まきこ)(福岡大学人文学部准教授)

趣旨1:
恋愛という自他関係のかたちを哲学的に論じると同時に、それを近代日本の文脈に差し戻すことで、恋愛の精神史的背景を解明していく。その際、九鬼周造の『「いき」の構造』に注目する。彼が「いき」という生き方を通して目指すのは、恋の非日常性が成立する刹那を捉え、そこに宿る他者の姿を描き出すと同時に、その刹那の脆さを明らかにすることによって、恋のもつ問題性を告発することであった。本発表では、こうした「いき」が明らかにする恋の二側面を、和辻哲郎の間柄に基づく日常性の倫理学と対比的に論じ、分析していく。さらに、「恋愛」のもつ危険性が暴露された時代として日本の近代をとりあげ、当時の知識人たちが陥った「恋愛」による「自己のリアリティ」の希求という問題を論ずることにしたい。

演題2: 〈所有〉と〈誓い〉の脱構築―現代フランス哲学の視点から

講師2: 藤田尚志(ふじた・ひさし)(九州産業大学国際文化学部講師)

趣旨2:
結婚という自己と他者の関係を、所有と誓いという二つの観点から論じていく。たとえば、カントが考えたように、結婚とは性的な契約関係であるとするならば、結局のところ、結婚が求めるのは、互いを占有するということだろう。それが目指すのは、当該の男女以外の存在を排除し、それによって、関係の継続をはかることである。しかし、他者を所有しようとする願望とはいったい何なのか。カントやヘーゲルを参照しつつ、所有概念を再検討し、個として生きる者がもつ「欲望」の有り様を問い直すことで、この問いを考えていく。さらに、個と欲望の関係を明らかにした地点から、再度、他者と共に生きるとはどういうことから問うことで、結婚における「誓い」の内実を見極めていく。


講師紹介:

■宮野真生子

《略歴》
2000年、京都大学文学部文学科(日本哲学史専修)卒業
2002年、同大学大学院文学研究科(思想文化学系日本哲学史専修)博士課程(前期)修了
2007年、同大学院文学研究科(思想文化学系日本哲学史専修)博士課程(後期)単位取得満期退学
日本学術振興会特別研究員PDを経て、2010年、福岡大学人文学部文化学科に講師として着任。2013年より現職

《専門領域》 日本哲学史・近代日本精神史

《主要著作》
「個体性と邂逅の倫理―田辺元・九鬼周造往復書簡から見えるもの―」、『倫理学年報』、第55集、2006年。(日本倫理学会和辻賞受賞)
「道具・身体・自然―宗悦と宗理」、木岡伸夫・鈴木貞美編、『技術と身体―日本「近代化」の思想』、ミネルヴァ書房、2006年。
「恋愛・いき・ニヒリズム」、竹内整一・金泰昌編『「おのずから」と「みずから」のあわい-公共する世界を日本思想にさぐる』、東京大学出版会、2010年。
「「倫理」としての「偶然性」」、『理想』、第685号、2010年。
「九鬼周造の存在論理学」、『西日本哲学年報』、第19号、2011年。(西日本哲学会若手奨励賞受賞)


■藤田尚志

《略歴》
1997年、京都大学文学部文学科(フランス語学フランス文学専攻)卒業
1999年、東京大学大学院人文社会系研究科(欧米系文化研究専攻・フランス語フランス文学専門分野)修士課程修了
2006年、同大学院博士課程(後期)単位取得満期退学
2007年、フランス・リール第三大学にて博士号(PhD)取得
2009年より現職

《専門領域》 フランス近現代思想、哲学と大学、結婚の形而上学とその脱構築

《主要著作》
『ベルクソン 反時代的哲学』(仮題)、勁草書房、2013年近刊。
  *同社HP上にて現在連載中。http://www.keisoshobo.co.jp/news/n6082.html
Shin Abiko, Hisashi Fujita et Naoki Sugiyama (eds.), Disseminations de L'evolution creatrice de Bergson, Georg Olms Verlag, mai 2012.
「耳の約束――ニーチェ『われわれの教養施設の将来について』における制度の問題」、西山雄二編『人文学と制度』、未來社、2013年3月。
「生命哲学の岐路――ベルクソンとドゥルーズにおける形而上学・科学・政治」、金森修編『エピステモロジー――20世紀フランスの科学思想史』、慶應義塾大学出版会、2013年1月。
"University with Conditions: A Deconstructive Reading of Derrida's The University without Condition", The Southern Journal of Philosophy (University of Memphis), 50th anniversary Special Issue: "Continental Philosophy: What and Where Will It Be?", Vol. 50, no. 2, June 2012, p. 250-272.


主催: 南山大学社会倫理研究所

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