Thursday, November 09, 2006

『創造的進化』百周年トゥールーズ篇

トゥールーズ大学のサイトに告知されてしばらく経つから、もう日本でも伏せておく必要はないだろう。来年はベルクソンの『創造的進化』が刊行されてからちょうど百年目にあたり、世界各国でそれを祝う催しが企画されている。トゥールーズ大学でも来年2007年の4月にAtelier Bergsonを開こうという企画が持ちあがり、私にorganisateursの一人になるよう要請が来た。

まだろくにキャリアもスタートしていない人になぜ、と驚いてはいけない。フランスではコロックを仕切るのは、どちらかと言えば、将来を見込まれた(?)若人たちのやる仕事なのである。フランスの御大たちはむしろ自ら率先して発表をしたがる。これは齢を重ねるほど落ち着いて「差配」仕事だけを引き受けたがる風土とはかなり異なる。

今回の一件で本当に驚くべきは、まだろくにキャリアもスタートしていない「外国人」になぜ、ということである。これには正直私も驚いた。それとともに、人種の分け隔てなく人を見る目を持った(?)co-organisateursに驚嘆もし感謝もしている。と同時に、冷静に見れば、これは「アジアを引き込む」という遠大な戦略のごくわずかな一端なのだとも思う。

それはともかく、今回の私の望みは、1)『創造的進化』に関する日本最強布陣をつくること(もちろんフランス語ができることが最低条件である)、2)フランス側に旅費を出させること、であった。二つ目は些細な金銭問題のようだが、決してそうではない。フランス側にほぼ全額出してもらって日本人哲学者チームが丸ごと呼ばれたことが、果たして過去何度あったか?

日本人がフランスに行って発表したといっても、たいていの場合は個人招待が限度、グループの場合は持ち出しが多い。しかし相手の誠意、こちらに対する評価は、そういう部分に表れるのである。望みは十分に叶えられたので、とても満足している。

このブログを読んでくれている数少ない私の友人たち――しかし真の知的友情とはいつの時代も稀なものだ。無理に耳目を集める必要はない――にはまだもう少しサプライズがある。いずれここで一番にご報告できればと思う。

1 comment:

Anonymous said...

〔ファンレターです!〕
数日前に始めて拝見しました。
以前にDr.平井の頁から辿れたやうな気もしますが、行方不明になつてゐたのが新しく発見出来て幸ひでした。
学位を取られてからの世界での活躍を楽しみにして居ります。

少し雑談を。
ウィーン大学の講義や講演(の一部)は
http://audiothek.philo.at/modules.php?op=modload&name=Downloads&file=index
で聞くことが出来ることを知りました。
大御所E.Tugendhatの2002年の動物と人間の違ひについての2つの講演などもあり、内容は余り面白くもなささうですが、話し方は明確で聞き易いですね。

その他の大学はどうなつてゐるのか知りませんが、Toulouse大学の資料の頁は充実してゐました。

ところでパリのF.Dasturの許で(10年くらい前に)九鬼周造についての論文を書かれた方の消息をご存知ですか?