Saturday, January 12, 2008

去りゆく人の志

1月11日付東京新聞、宮内勝典さんによるエッセイ。

《年の瀬に小包が届いた。そろそろ退職の日が近づいている知人が本を送ってくださったのだ。カントの『永遠平和のために』が入っていた。青いインクで「編 集者生活の最後にこんな本を作りました。ご笑覧ください」という言葉が添えられていた。ああ、この一冊を遺して出版界から去っていこうとしているのか。

(…)そして帯に記されている「16歳からの平和論/このちいさな本から『国連』や『憲法9条』の理念が生まれた」という言葉が、去りゆく編集者のひそかな遺言のように思われてくる。すべてが劣化しつつあるいま、その志がとてもまぶしい。》

No comments: