哲学史は、アウグスティヌスに2回を割き(『告白』と『神の国』)、トマス・アクィナス(『神学大全』)へ。本音としてはもう少し中世の哲学に浸かっていたい。「プラトンからデカルトまで」と銘打ったので、最後はデカルトで締めねばならないのだが…。
結婚論は、マルクス、フロイトを終えて、ボーヴォワールへ。
「ボーヴォワール 画像」で検索するのと、「Beauvoir image」とでは、結果がかなり違うので驚いてしまった。日本での古典としての地位の低さは、少し異様な気もする。中公新社版『哲学の歴史』に「ボーヴォワール」はおろか、「フェミニズム」という章すらない…。
今回の読書で一番気に入ったのはこれ。
青柳和身『フェミニズムと経済学――ボーヴォワール的視点からの『資本論』再検討』、御茶の水書房、2004年。
なんというか、この手の、肩に力の入りすぎた仕事が好きだ。
「本書の直接的な問題関心は、2005年から2015年までの時期を中心とした女性のM字就業の解体を中核的内容とする日本におけるジェンダー革命の端緒的展開の予測と21世紀の世界史的なジェンダー革命の展望を明らかにするための歴史的・理論的考察である。そのためにフェミニズムの古典としてのボーヴォワール『第二の性』と、マルクス経済学の古典としての『資本論』とを比較検討しつつ、マルクスが検討しえなかった歴史と現状の資料、とくに性・生殖史と近現代の人口史の資料によって『資本論』を再検討することが直接の課題である。」
「2015年には予測の結果はほぼ判明しているので、予測に失敗した場合には一切の自己弁明をせず、筆者の学問的方法論、認識論まで含めた根本的な自己批判をすること、これが学問上の意味での「笑い者」のなり方である。」
真正面から直球勝負、いいですね。かっこいい現代思想家の威を借りて、キャリアを駆け抜けていくより、よほどいいです。
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大越愛子『フェミニズム入門』、ちくま新書、1996年。
京都にいた頃に買ったのに、まともに読んでいなかった。13年ぶりに読みました…。やっぱり好きになれませんでした、とても残念ですが。
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シモーヌ・ド・ボーヴォワール『女性と知的創造』(朝吹登水子+朝吹三吉訳)、人文選書2、1967年。1966年の滞日講演集。
セルジュ・ジュリエンヌ=カフィエ『ボーヴォワール』(原書1966年 岩崎力訳)、人文選書6、1967年。
ジョゼ・ダイヤン監督『ボーヴォワール――自身を語る』(映画1979年 朝吹三吉+朝吹登水子訳)、人文書院、1980年。
アリス・シュヴァルツァー『ボーヴォワールは語る――『第二の性』その後』(原書独語版1983年)、平凡社ライブラリー、1994年。
村上益子(ますこ)『ボーヴォワール』、清水書院、センチュリーブックス「人と思想」74、1984年。
佐藤泰正編『フェミニズムあるいはフェミニズム以後』、梅光女学院大学公開講座論集第28集、笠間選書163、1991年。以下二篇、視点は興味深いが…。
常岡晃「フランス文学におけるフェミニズムの諸相――スタンダールとボーヴォワールを中心に」
広岡義之「女性の現象学――ボイテンディクとボルノーに学びつつ」
クローディーヌ・セール『晩年のボーヴォワール』(門田眞知子訳)、藤原書店、1999年。
『第二の性』五十周年記念出版。
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