先月ようやく研究室に新しい書架を入れたので、本格的な蔵書・書類の整理に着手しているのだが、相次ぐ移動、本の大きさによる配置の導入によって、分類は混乱状態に陥ってしまっている。
そこで、蔵書に関して、学生さんたちにパソコン入力、本の並べ替えを手伝ってもらうことにした。もちろん、「有志」の学生さんたちに十分に趣旨を説明したうえでのことであって、アルバイトなどではない。
なぜか?私がやったほうが早いに決まっているし、効率的でもあるが、大して私の勉強の役には立たない。しかし、これから勉強をしていきたいと考えている学生さんにとっては、かなり有用だろうと思ったからである。
ゾラという著者名をアルファベットでどう書くのかという初歩的なところから始まって、フランス語の著書名は?生没年は?出版社は?フランスでの出版年と日本での出版年は?翻訳者名は?などなど、基本的な項目を入力してもらい、できるかぎり年代別、ジャンル別に本棚を再整理してもらう。
フランスやドイツや英米の哲学、宗教、政治、科学、芸術などなど、和洋あわせてかなりの量になるが、こういった地道な作業を手入力でやることで、例えばフランス文学史(および日本における翻訳の歴史)の流れが頭に入る。私の頭の中の「思想・文学地図」が、学生たちにとって具体的に実感される形で、つまり本棚をただ眺めているだけでは分からない実感を(多少なりとも)伴ったものとして、可視化されることになる。
昔は理屈付けを与えられることなく理屈抜きで「研究室」の命令としてやらされ、私たちは自分でその意義を見出したものだったが、最近はきちんとした理由を示し、学生たちの完全な合意を得たうえでやることが重要である。
「学生を体よく使っているだけ」という批判もあると思うが、このような作業は、勉強を続けていきたい学生にとって大切だと思う。
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