2021年4月 中里まき子さん(岩手大学)より、『智恵子抄』の仏訳をご恵投いただきました。
TAKAMURA Kôtarô, Poèmes à Chieko,(Pessac : Presses Universitaires de Bordeaux, avril 2021)
『智恵子抄』を2021年にフランスに紹介するにあたって、智恵子の「内面の苦しみ」(tourments intérieurs)から目を逸らし、「子どもの無邪気さ」(innocence d'enfant)を前面に押し出すことで、美化(esthétisation)していたのではないか(p. 16, 17)という指摘は欠かせないと思っていたので、さすが!と思いました。清家雪子さんの『月に吠えらんねえ』にも言及すれば、フランスの読者にも良かったかなと思います。
詩に疎い人間としては、『智恵子抄』が、真実の「もう半分」(l'autre moitié)を描いていないにもかかわらず、
「日本で最も読まれた詩集の一つ」(p. 9)となった理由や、戦後の七年間、良心の呵責から花巻に閉じこもった経験によって開かれたという「彼の詩の新たな境地」(p. 19)がどのようなものであったのか、知りたいところです。
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