Monday, September 19, 2011

親心

土日、二つの地方の懇談会に行ってきた。学業や就職に関する親御さんの相談に乗るためである。各日、だいたい2、3時間、一人15分から20分相談を受ける。全学部あわせると、平均して一会場に100人弱くらいは相談に来られる。学部内で教員に割り振って、これを九州や近隣地区あわせて二十か所程度行なうのである。

昔の大学のイメージからすれば考えられないとおっしゃる方も少なくないであろうが、数年以内にこの制度は、国公立大学においても一般化するであろう、というか、現在しつつある、と思う。


夜に後援会(簡単に言えばPTA)主催の懇親会があり、なんというかとても九州的な人間的温かみのある時間を過ごさせていただいた。最後に万歳三唱があった。「大学のますますのご発展と私たちの子どもの幸せを願って…」という言葉には不覚にも感動した。当たり前のことだが、休日にわざわざ懇談会上の運営やら、気難し屋の多い大学教員相手の飲み会など誰も好き好んでしたいはずはない。すべては子どものため、なのだ。


こういう純朴な親心や素直な子どもたちというのは地方の小さな大学にはとりわけよく見える類のものだ。こうなると、なかなかポストモダンの非人間主義には辿り着かない…。このギャップこそがとても現代的な光景なのであって、現代哲学はこのギャップから出発すべきなのではないか。

これは子どもの幼稚化、親が子離れしていない、といった問題ではない。ドゥルーズの管理社会論はこの点できわめて基本的な視座を与えてくれる(この点は、このあいだの国際シンポで、ベンヤミンの大学論の導入として取り上げた)。生政治学の非自然主義的側面、私の言葉で言えば、制度論的な関心が必要になってくる場面である。

…などと思ったりもする一地方大学教員の週末でした。

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