Tuesday, September 20, 2011

中世哲学史入門

最近読んでいる本。中世哲学史をやるので、その関係のものが多い。

1)中世哲学史を始めるにあたって、ごく大雑把にでもキリスト教のイメージを与えておく必要がある。


小田垣雅也『キリスト教の歴史』、講談社学術文庫、1995年5月。ベーシックな入門書。
橋爪大三郎X大澤真幸『ふしぎなキリスト教』、講談社現代新書、2011年5月。ポップな入門書。

2)そして、中世哲学全般のイメージを与える。



中公新社版『哲学の歴史』第3巻「中世:信仰と知の調和」(2008年1月) 総論は非常におとなしく、各論はもちろん詳しいのだが、今一つはっきりとした思想家像が浮かび上がらず…。うーむ。

リベラはとてもいいが詳しすぎ、とてもではないが、一学期で教えきれない。今道友信の『中世の哲学』も読んでいるが、八木雄二とともに、ここでは措く。

クラウス・リーゼンフーバー『西洋古代・中世哲学史』、平凡社ライブラリー、2000年8月。
クラウス・リーゼンフーバー『中世思想史』、平凡社ライブラリー、2003年12月。
前者は思想の簡潔な素描。クセジュにありがちなタイプの本(のより詳しいもの)。
後者はキリスト教哲学としての全体的な流れの描写に重きが置かれ、個々の哲学者の扱いはごく小さい。古代ギリシア哲学を扱った前期は、熊野純彦の『西洋哲学史――古代から中世へ』(岩波新書)を 教科書にしたので、後期は後者を教科書としたが、前後期まとめて一冊として前者を教科書にしてもよかったかもしれない。ただ、リーゼンフーバーは無味乾燥 なので、いきなり前期にこれを買わせても…という気もする。前期(特に出だし)はやはり相対的に濃い味付けが必要であり、その意味で、熊野さんのしゃれた エッセイ風のスタイルが有効であるという気がする。



3)次に、教父哲学からスコラ哲学へという大きな区分と流れをおさえる。


岩波講座『哲学』第16巻「哲学の歴史I」(1972年)所収の
 第5章「キリスト教と教父哲学」(服部英次郎)
 第6章「西洋中世哲学とイスラム哲学」(日下昭夫)
 第7章「中世における神と人間」(山田晶)

4)まずは教父思想、時間がないので、アウグスティヌスのみ。これについては項を改める。

5)毎回、西洋中世の芸術を紹介しようと思っているのだが、まずは美術から。というのも、建築や音楽は中世後期で取り上げたほうがよいからである。私のような非専門家の目から見て、教父時代(ぎりぎり末期)の芸術で関心を引くのは、偶像崇拝論争におけるイメージの取り扱いくらいなのである。


越宏一『ヨーロッパ中世美術講義』、岩波セミナーブックス82、2001年11月。
今野國雄『ヨーロッパ中世の心』、第1章「聖像と偶像――イメージに寄せる思い」、NHKライブラリー、1997年11月。

ラテン中世(いわゆる「中世」)だけに限れば、いろいろある。

ウンベルト・エコ『中世美学史――『バラの名前』の歴史的・思想的背景』(谷口伊兵衛訳)、而立書房、2001年12月。
エミール・マール『ヨーロッパのキリスト教美術――12世紀から18世紀まで』(柳宗玄・荒木成子訳)上・下巻、岩波文庫、1995年11月。
エルヴィン・パノフスキー『〈象徴形式〉としての遠近法』(木田元ほか訳)、ちくま学芸文庫、2009年2月(元の哲学書房版は1993年)。

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