Saturday, June 30, 2012

7/1 第3回ひらめの会

元のページ

日時 2012年7月1日(日) 午後1時から午後6時まで
場所 九州大学大橋キャンパス2号館3階会議室
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/kyushu-u/watch/campus

「デ・カルト」


デカルトは『方法序説』において、真理が確実でないときにどのように行動すべきかを論じました。デカルトによれば、世間の習慣や決まりごとに従い、 世界を変えるよりは自分自身の精神のあり方を変えるべきだといいます。この「仮の道徳」は、絶対的真理を手中にしていると思い込み、それに基づいて自らの 習慣的身体や外界を虚偽として断定的に否定するいわゆるカルト主義に対する批判となっています。

くわえてデカルトは『情念論』において、精神が外界や身体から受動的に作用を受けることを「情念」と呼び、身体がいかなる状況にあってもその状況を 一つの客観的事態として正確に認識し、それに対して能動的な手を打つことが精神には可能であるとしました。そしてデカルトは、そうした自由意志を自覚する ことにより、精神はいつでも高邁さの境地に至りうるのであり、そのようにいわば精神を訓練することも可能だと主張しました。

身体や情念をいつでも客体として精神が取り扱うことができるのは、デカルトにおいて精神と身体(物体)が実体の水準で完全に区別されているからにほ かなりません。こうしたデカルトの二元論は、現代においてさまざまな批判の的となっています。しかし依然としてデカルト的「切断」の操作は、精神分析や各 種の心理療法にも引き継がれ、今日の精神や身体の病理形態に対処する有力な手法であり続けています。

今回のひらめの会は、前回の身体論にひきつづき、身体の病理的形態、受動としての身体性(パッション)の問題を、カルト論、精神分析、器官なき身体 などの観点から論じたいと思います。それぞれの発表予定者の記事や文章を事前にお読み頂いてご参加下さい。テクストは下記の発表題名よりリンクする予定で す。(古賀徹)

話題提供の方々

武富 泰毅(元佐賀新聞記者) つくり変えられる心、マインド・コントロール

古賀徹  ドゥルーズ/ガタリの「空虚な身体」と「充実する身体」について

西見奈子 精神分析における身体―近年のクライン派理論を中心に―
九州大学大学院人間環境学府博士後期課程単位取得満期退学。2008年博士号(心理学)取得。現在、近畿大学九州短期大学准教授。精神分析学会正会 員。日本精神分析協会所属。精神分析、特にクライン派の研究および臨床をおこなう。また近年は美の概念および芸術論に関心を寄せている。一般向けの精神分 析の読書会、セミナーを時折開催。art space tetraの運営メンバー。

渡邊利夫 アレンカ・ジュパンチッチ『リアルの倫理』について(第一回) 解題:第1章~第3章
熊本県立人吉高校英語教諭。西南学院大学大学院文学研究科(国際文化)博士課程満期退学。イギリス初期近代文化、特にSir Walter Raleighについて研究。(岩尾ゼミ)

*6時半過ぎから懇親会を予定しています。参加ご希望の方は、お店に予約の関係もありますので6月25日までに石井さん(sharanoka アット gmail.com)までご連絡ください。当日の飛び入り参加も歓迎です。

No comments: