第5回京都言語文化教育研究会
2012年7月7日(土)14:00より
京都大学吉田南構内総合館101(東南棟1階)
参加費300円(お茶代)終了後に懇親会あり
談話能力習得とコミュニカティヴアプローチ:
フランスにおけるクラスルームの事例研究
木田 剛(筑波大学人文社会系)
本発表は「伝達能力の学習の逆説(paradoxe de l'apprentissage de la compétence de
communication)」を議論する。これは、一般の会話能力の養成は言語の使用、つまり会話によってなされるが、言語学習の現場での会話構造は学習のための特別なもので、一般の会話とはほど遠い説明や質問に支配される傾向にある。極言すれば,会話を学習しようと思っても、外国語教室では「会話」しない。これをフランスで一般に行なわれている外国人向けの通年フランス語の授業を実証的に調査したものを報告する。談話分析の手法を用いて語学教師のディスクールを語用論的に分類し、それが学習者の参加に与える影響を総合的に分析することによって,教師がどのような話し方をすれば学習者の会話能力向上の可能性があるかを探る。
クロード・ジェルマン (ケベック大学モントリオール校)「神経言語学的アプローチ: カナダの集中フランス語教育について」(英語による発表,通訳あり)
カナダの学校制度の中で,生徒の大多数(およそ85%)が受講する第二言語としてのフランス語学習は成功を収めていない。このことはさまざまな資料から明らかになっている。これは,点滴注射さながらのエクステンシブ・コース(一日に20分から40分の授業)を受講してきた「コア・フランス語」クラスの生徒のテストを近年調査したことに基づいている。このような貧弱な成果を改善するため,英語圏の研究者と協力し,言語学習のための神経言語学アプローチとよばれるアプローチを開発してきた。
過去15年間にわたり,ケベックを除くカナダの全州と3つの準州でこのアプローチを試行し,実施してきた。現在までに4万人以上の英語系カナダ人の児童(小学校5年生か6年生)がインテンシブ・フランス語プログラムと呼ばれているこのプログラムに参加し,成果を収めてきた。報告の第一部では,このアプローチの基本的原理を手短に紹介し,神経科学(ここでは神経言語学)の領域における近年の研究によって,第二言語学習に使用されている大半の教授法や教材の背後にある基本的な考え方がどのようなものかを示したい。後半では,インテンシブ・フランス語プログラムを簡単に紹介し,それによって得られた成果を示したい。
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