Thursday, January 24, 2013

励ます

来年度の授業のための準備を少しずつ始めている。というか、苦しみから逃れるために、いろいろあがいている。しばらくずっとアニメをリアルタイムで観るということをしなかったのだが、昨年久しぶりに『坂道のアポロン』を観て以来、少し距離が埋まった気がする。

最近は、細田守監督の『時をかける少女』(2006)と『サマーウォーズ』(2009)を観た。『時かけ』のディレクションファイル(監督による演出解説)と関係者による証言集は、「芸術の哲学」の授業に使える気がする。

学生指導についてはいつも考えているので、自然と以下のようなところが気になる。

***

司会:「細田さんも、役者さんに指導するときは割とこう、ダメ出しをするというよりは、どっちかっていうと、励ましていくタイプというか。そんな印象があるんですけど。」

細田守:「うん、まあ励ますっていうか、僕自体、役者さんとキャラクターがもう、ほとんどそのものだと思ってるんで、別に演技指導とか、そういうことではもういいようがないわけだよね。そのものだからっていう。だから、どっちかっていうと、みなさん緊張されているところに、いや全然これでいいんですよっていうことを言えるかっていう話でしたけども」

司会:「演じる側からして、細田さんの指示であったり、やりとりとかってどうでした?」


神木隆之介:「監督はものすっごい褒めてくださるんですよ。僕がかんじゃったりとか、失敗したときに、『大丈夫だよ。今の感じ、今の感じでもう一回いこう。大丈夫だ』って言ってくださるんで、すごくありがたいなと。テンションも落ちずに、健二を演じることができたなとすごい感謝しています。」

横川貴大:「僕はですね、すごい大変なセリフがあったときに、監督さんたちがいるミキシングの部屋と、僕たちがいるブースって、扉で仕切られてるんですけど、一回録るごとにわざわざこっちのほうまで来て、こういう感じっていうニュアンスを細かく伝えてくれて、直接会って、で、また録って、『今の感じ』っていう名台詞が入って、台本のところに直接ペンを入れながらとか、そういう指導をしてくださったんで。ほんとにすごい助かって。あんときはうれしかったです。」

細田:「そうなんだよね。トークバックで言うのはホントは楽なんだけども、どうもそれだと伝わんないような感じがして。」

司会:「スピーカー越しに指示を出すんじゃなくて、直接会いに行って、やるっていう」

細田:「そう。で、けっこうまた、スタジオの扉も重いからね〔防音で何重にもなってるから〕、だから結構いい運動になりました(笑)」

***

この例はプロ同士という関係における「指導」であり、私たちのように「育てる」という関係における指導とは異なるので、そのままというわけにはいかない。

が、信頼関係が重要であり、「褒めて育てる」「存在を肯定されているという感じを与える」ことが大切であるのは、どんな関係でも変わらないだろう。

No comments: