Sunday, April 07, 2013

4/8 アンヌ・チェン「中国は普遍性を思考することができるか?」@日仏会館


某先生からのお知らせメール。ネグリに関する指摘には同意。

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いまトニ・ネグリが来ていて、きのう土曜日学士会館で講演討論会「3・11後のマルチチュードと権力」、今度の金曜12日に国際文化会館で講演と姜尚中との対論「グローバリゼーションの地政学」があります。ショートノティスなのに、きのうの学士会館は申し込みが800人もあったそうで(定員300人強)、その人気には驚きました。理論構成は緻密さに欠けるように思いますが、左の理論家が払底しているなかで、Empire, Multitude, Commonwealthと大きな構図で現代世界を分析し、解放ないし抵抗のヴィジョンを出してくれるので勇気づけられるのでしょう。Commonwealthは共和国を意味する英語ですが、ネグリはルソーが私有財産を擁護したといってその共和国論を無視するので、ぼくは不満ですが。

[ネグリの講演会について「学士会館」と書いたのは乃木坂の「日本学術会議」の誤りでした、訂正いたします。
学術会議は日本学士院ではありませんが、いちおう「官」がやっている学術機関なので、そこにネグリを呼び入れた社会学者たちは勇気があります。2008年にはヴィザが発給されず来日が阻止された人ですから。でも80歳の年のせいか温厚で誠実な人のように見えました。以下のyoutubeで講演を聞くことができます。ただしフランス語オリジナルではなく拙訳ですので悪しからず。
http://www.youtube.com/watch?v=OBNbXU_iNQI]

このメールは、あす月曜日18時30分から日仏会館でAnne Chengコレージュ・ド・フランス中国思想史教授の講演会があることをお知らせするためです。以下にプログラムをコピーします。日中対立激しいおり、中国の伝統思想を理解するいいチャンスなので、ぜひお出かけください。
講演タイトル La Chine pense-t-elle l'universel?「中国は普遍性を思考することができるか?」

【プロフィール】
アンヌ・チャンは、現在、コレージュ・ド・フランスで中国思想史の教授を務める。思想史が専門で、とりわけ中国や近隣の文化圏における儒教の歴史に関心を持っている。『論語』の仏語訳 Entretiens de Confucius (Seuil, 1981)のほか、Histoire de la pensée chinoise (Seuil, 1997), (アンヌ・チャン著『中国思想史』志野好伸、中島隆博、廣瀬玲子訳 知泉書館 2010年)などの著書がある。

【要旨】
 普遍性の出現は、ヨーロッパにおける啓蒙主義の哲学や「理性の勝利」の産物だと一般に考えられているが、中国における普遍性は、中心から周辺へと拡散していくような文明観と強く結びついている。実際に、そうした文明観に基づいて、帝国の影響力は行使されてきた。
 この拡散する力の及ぶ地理的な範囲が「中国化した世界」だったのであり、東アジアの大部分を広く覆っている。中華帝国を自ら「文明=世界」とするような表現は、植民地主義的な列強の介入や近代日本において批判が展開される19 世紀になって初めて問題となった。そして、この中国=世界の普遍性こそが、いま現在、「大きな中国」というイデオロギーのなかで活気を取り戻しつつあるのだ。

【ディスカッサント】 中島隆博(東京大学東洋文化研究所)

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