Tuesday, April 01, 2008

ロンドン・ワークショップ2008

ベルクソン研究の日。「有限性」概念について、ありがちな死の側からではなく、もう一方の端である誕生の側から探るため、ダスチュールが挙げていたアレントの『人間の条件』をざっと読んでみたのだが、これといった発見はなし。ベルクソンに何度か言及している。ドイツの思想家がベルクソンに言及する際、彼の思想の政治的・社会的影響に目を向けていることがきわめて多い。春の発表では、この点を一度まとめておくつもり。

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以下、最近のベルクソン・ニュース。

・合田さんと松本さんによるちくま学芸文庫版『物質と記憶』の第二版が出るようです。

・昨年初来日したピエール・モンテベロの『創造的進化』についての講義がネット上で読めます。きちんとしている。

・『二源泉』については、2006年12月にジュネーヴでコロック「ベルクソンと宗教 『道徳と宗教の二源泉』についての新たなパースペクティヴがありました(プログラムpdf)。今年刊行されるはず。

・今週末に迫ったロンドンでのワークショップ。人物解説をしながら、見ていくことにしましょう。

Bergson and Bergsonism Workshop
- London, French Institute 4-6 April 2008

Friday 4th April

Morning: “Historical and Thematic Perspectives”
9:00 Registration
9:30 Miguel de Beistegui (University of Warwick) : Introduction
10:15 Giuseppe Bianco (Université de Lille III/Trieste) 'Bergson as a PH paper. 'Bergsonism' in French Philosophy's Solution'.
11:00 Break
11:15 Frédéric Worms (Université de Lille III/Ecole Normale Supérieure) 'Les moments de la pensée bergsonienne'
12:00 Respondent : Federico Leoni (Università degli Studi di Milano)
12:20 Discussion
13:00 Lunch

ミゲル・デ・バイステーギ――少なくとも私が会った時、周りの人はこう発音していたように記憶しています――には、数年前のCollegiumで会ったことがあります。彼については、2005年3月7日のauf deutschのポストに印象や評判を記しました。今は英国にいるのですね。

ジュゼッペ・ビアンコ、親しい友人です。昨年、ドゥルーズとカンギレムのベルクソン講義をイタリア語訳しました。2007年3月21日のポストを参照のこと。

ヴォルムスについて説明の必要はないでしょう。

フェデリコ・レオーニは、Carlo Siniの弟子。下のロンキと共にベルクソンの1904年コレージュでの記憶概念の哲学史をイタリア語訳した人。昨年のコレージュ・シンポでは、ケメックスの第三アトリエで発表この人と同一人物だとすれば我々と同世代の若手。現象学雑誌Chiasmiのeditorial assistantsも務めているようです
Senso e crisi : Del corpo, del mondo, del ritmo, Pisa : edizioni ETS, 2005.
とあるのは博論でしょうか(詳細目次はこちら。Siniの序文や著作抜粋もあり)。他にも、
-Follia come scrittura di mondo. Saggi su Minkowski, Straus, Kuhn (Milano 2001).
-L’inappropriabile. Figure del limite in Kant (Milano 2004), Senso e crisi.
などの著書あり

Afternoon: “Being”
14:30 Pierre Montebello (Université de Toulouse-Le Mirail) 'Deleuze, lecteur de Bergson: monisme et naturalisme'
15:15 Rudolf Bernet (Katholieke Universiteit Leuven) 'The Driven Force of Consciousness and Life'
16:00 Break
16:15 Débora Morato-Pinto (Universidade Federal de São-Carlos) 'De la critique du Néant à l'expérience de l'Etre-Bergson et l'empirisme purifié'
17:00 Respondent: Florence Caeymaex (Université de Liège)
17:20-18:00: Discussion

モンテベロも来日したので説明はしません。ルドルフ・バーネットにはcollegiumでも北欧現象学会でも会ったことあり(2005年4月23日のポスト)。向こうは覚えてないだろうけど。。
デボラは昨年末に私をブラジルに迎えてくれた人。その顛末はこちら。ベルギーの才媛ケメックスについてはいずれまた。

Saturday 5th April

Morning: “Life”
9:00 Registration
9:30 Jean-Christophe Goddard ( Université de Toulouse-Le Mirail) 'Vie et survivance. Le spectre de l'élan vital dans les Deux sources de la morale et de la religion'
10:15 John Mullarkey (University of Dundee) ‘The Impossibility of Bergsonism’
11:00 Break
11:15 David Morris (Trent University) 'Embryos and the Virtual: Organisms as Living Concepts at the Turn of Experience'
12:00 Respondent : Paul-Antoine Miquel (Université de Nice-Sophia Antipolis)
12:20-13:00 Discussion
13:00 Lunch
ゴダール大局観というものをもった人)、マラーキーHP)、ミケルも説明の必要なし。デヴィッド・モリスについてはこちら。彼を見習って(?)少しずつ英語の業績を増やしていこう。

Afternoon: “The Concept”
14:30 Patrice Maniglier (Essex University) ‘Bergson structuralist? Beyond the Foucaldian opposition between life and concept’
15 :15 Rocco Ronchi (Università degli Studi dell’Aquila) 'Acte, concept, infini: ce qu'il n'y avait pas sur le tableau noir de Bergson'
16 :00 Break
16 :15 Respondent: Ray Brassier ( University of Middlesex)
16:35 Discussion
17:00-18:00 Concluding General Discussion, animated by Mauro Carbone (Università degli Studi di Milano) and Arnold Davidson (Università di Pisa).

マニグリエは、ケックやデューリング、私と同世代。ロンキは既述レオーニを参照。イタリアにもろアングロ=サクソンな名前が。。そういう趨勢なのだろうか?

Sunday 6th April
9:30-12:30 PhD students working on Bergson and Bergsonism to present their current research:
Caterina Zanfi (Università di Bologna) 'Max Scheler face à l'anthropologie bergsonienne'
Michael Kolkman (University of Warwick-Université de Toulouse le Mirail) 'Bergson and Fichte, Qualitative and quantitative difference'
Michael Vaughan (University of Warwick). 'Creative revolution: Bergson's social thought'
All welcome.

コルクマン&ヴォーガンも説明の必要なし。カテリーナは、彼ら同様かなり若い。このあいだのコレージュ・シンポで初めて話した。これからが楽しみな一人。

若手にもチャンスを与えている点、見逃せません。ただ、こういった組み方で難しいのは、日曜日は聴衆が激減するだろう、ということです。他のスピーカーと同一線上に並べることはできない。けれど、少しでも多くの聴衆の前でやらせてあげたい。きちんと努力している若手に、その努力に見合う場をどのように用意するか。チャンスを垣間見せることでモチベーションを与える。それなしにただ「頑張れ」というのは――実によく見かける光景ですが――、励ましていないのと同じです。そんなものは「研究者養成」でも何でもない。

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