Paul-Antoine Miquel, Le vital. Aspects physiques, aspects métaphysiques, éd. Kimé, coll. "Philosophie en cours", janvier 2011.
私 は前からミケルのエピステモロジーは面白いと言っているのだが、日本ではイマイチ理解されていない。ちなみに、エピステモ系の人たちと言うのは、やはり エピステモ系という独特の雰囲気――率直さ、気取らない感じ、飾り気のなさ、あっけらかんと議論できる感じ――を持っていて、私はとても好きである。ミケ ルもそういう一人であるが、彼が私に書いてくれた「献辞」に似たようなことが書いてあって笑ってしまった。背表紙を大雑把に訳しておくと。
《本書は生命的なものに関する一つのテーゼを主張しようとする。それは、〔「生命」と「生物」を区別し、前者を哲学者に、後者を科学者に割り振るのが通例 となっているが〕生命的なものに取り組むのは哲学者というのは単純に間違っているということである。科学者が必要な仕事をした後でなければ、哲学者にはこ の問題に関して何も言うべきことはない。
この主張をさらにラディカルに展開してみれば、生命的なものには物理的な諸側面があるということになる。こうして一つのパースペクティヴが描き始められ る。生命的なものの問いに取り組むにはまず、意識の観点は根源的なものではないということを受け入れる必要がある。見かけに騙されないようにしよう。すべ てが意識の言葉から始まるわけではないのだ。
すべては、ある一つの身振り、ある一つの体系化しようとする身振りから始まる。その体系化的な身振りこそが科学のそれであり、その身振りは私たちを意識の 世界の外へと押しやる。つまり、意識(conscience)の世界と科学(science)の世界の間を行き来するこの転倒の動きを解釈することなく、 それに耳を傾けることなしに、生命的なものを理解することなどできはしないのである。こうして新たな自然の形而上学が生まれ始める。もはや存在者(一般) の存在(一般)ではない、ある存在者のある存在についての哲学が。》
Paul-Antoine Miquel, Maître de Conférences HDR à l'Université de Nice, est notamment l'auteur de Comment penser le désordre ? Fayard, Paris, 2000. Biologiques du vieillissement, en collaboration avec Ladislas Robert, Kimé, Paris, 2004. Bergson ou l'imagination métaphysique, Kimé, 2007. Qu'est-ce que la vie ? Paris, Vrin, 2007. Biologie du XXIe Siècle, évolution des concepts fondateurs, Dir P A Miquel, Préface de Noble, De Boeck, 2008.
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