Thursday, March 31, 2011

原発人災のおりですが、いや、だからこそのWINC4月例会のご案内です。

お知らせの転送です。
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WINC参加者のみなさん。

3月11日の大震災のもと で、 みなさんはご無事ですか。

知り合いやご家族に被災さ れた 方がいらっしゃったりしないでしょうか。

被災地からの報せを聞くだけで、胸がつぶれるような思いがいたします。
まして、直接に被害にあわれた方々の心の傷みはいかばかりでしょう。
かける言葉も見つかりません。
 
震災に加えて、
さらに人災としての大規模原発事故が降りかかってきています。
いたずらな不安ばかりが先走るのは危険ですが、
マスコミには、
この事故が原発行政の転換に結びつかないようにと、
東電のひもつき原発推進派ばかりがコメンテーターとして登場させられ、
あけすけに言説の選別と誘導が行なわれているのを見ると、
空恐ろしいものを感じます。
今回の事故の意味をどのように受けとめられるのか、
この危機を、原発政策の転換に結びつけることができるかどうか、
早晩、この市民社会の力量が問われることになるはずでしょう。
 
ところで、次のWINC四月例会の予定についてですが、
率直に申し上げると、
はたしてそのまま開催可能かどうか、一度は頭を抱えました。
しかし、何人かで話し合っているなかで、
むしろ孤立して狼狽しているよりも、
事態を掘り下げる機会をしっかり持とうではないか、ぜひやろうという結論にいたりました。
それどころか、四月例会のテーマとしてもともと考えていた1950年代論の本来の文脈と、
現在の原発事故が突きつけている思想的課題とが実は深く連関している、

という確信を持つようにもなりました。
だから、
原発人災事故のおりにも関わらず、ではなく、
事故のおりだからこそ、次回例会のお知らせを差し上げ、参加を呼びかけます。
 
つまり、4月16日には予定どおり、
河出書房新社から公刊された鳥羽耕史さんの『1950年代――記録の時代』を課題図書として、
WINC例会を行ないます。
ただし、冒頭でまず、
NHKの1994年のドキュメンタリー映像

原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略』(44分)を見ることにします。
これは、まさにいまの原発災厄の起源が、戦後の読売争議や50年代の平和運動の破壊のなかに

あることを
見事に明らかにした作品です。
これをみなさんと共有し、またそれを橋渡しとして、
鳥羽さんの新著が提示する1950年代論のアクチュアリティまで考えてみます。
 
「1950年代の発見と再定義」は、ここ二、三年、重要な主題として浮上してきています。
ブームと呼んでしまうと語弊がありますが、谷川雁や『サークル村』の再評価、
さまざまなサークル雑誌やサークル詩の発掘と復刊、『現代思想』の「特集=戦後民衆精神史」の登場、
そして間近に迫った『人民文学』そのものの復刊などが続いており、
間違いなくこれらの成果があいまって、

1950年代という時代についての見通しが顕著に豊かになりました。
 
今回は、鳥羽さんの、ある意味では実に生真面目な新著を手掛かりとして、
なぜ1950年代が問題であるのかを正面から論じてみる機会としますが、
そこにさらに原発事故の意味を掘り下げるという文脈が、
複雑に絡み合ってくるはずです。
 
提題者のひとりは、
一連の動きの「工作者」でもある
元『現代思想』編集長の池上善彦さんにお願いしました。
池上さんからは、
まさに原発事故も含めた2011年の世界大の状況を見据えつつ、
50年代論の「世界史的意義」について論じるぞ、という予告をいただいています。
もうひとりの提題者は、
松田道雄論などで注目されている若手の論客、

和田悠さんがお引き受けくださいました。

また、著者である鳥羽
耕史さんご本人がお越しになり、

お二人の提題に対してリプライしてくださる予定です。

具体的には以下のようになります。

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 《WINC四月例会 1950年代論の意義と射程とその切実さ》

■ 日時 2011年  4月 16日(土)午後2時から

■ 場所 東京外国語大 学海 外事情研究所 研究講義棟四階 427

   ※ 東京外国語大学の住所は「府中市朝日町3-11-1」です。

    西武多摩川線 (中央 線武蔵境駅にてのりかえ)多磨駅下車徒歩4分

    あるいは、京王 線飛 田給駅下車北口からの循環バスで5分、

    「東京外国語大 学 前」下車です。

    どちらも少し間 引き されているとはいえ、問題なく動いています。

心配な方は、

東京 外国語大学のホームページ上の案内図を参考にしてくださ い。

   URLは、

http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html

    です。

■ 課題: 鳥羽耕史 『1950年代――「記録」の時代』(河出ブックス、河出書房新社、2010年)

参考映像: 原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略』(NHK、44分)


■ 
提題者: 池上善彦 さん (失業者、元『現代思想』編集長)
 
         和田悠さん(学振特別研究員、地域社会文化運動「板橋茶論」事務局長、

社会学/社会思想研究)

■ リプライ: 鳥羽耕史さん(早稲田大学、近現代文学)

なお、4月16日は土曜日ですから、計画停電はありませんが、
会場の東京外国語大学では、いずれにしても暖房は入りません。
天候次第ではすこし厚着をして、ぜひともお集まりください。
 

WINC運営委員会)

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