Tuesday, June 07, 2011

『将棋をやってる子供は、なぜ「伸びしろ」が…』

今週の本棚・新刊:『将棋をやってる子供は、なぜ「伸びしろ」が…』=安次嶺隆幸・著

 ◇『将棋をやってる子供は、なぜ「伸びしろ」が大きいのか?』

 (講談社・1470円)

 将棋は礼に始まり礼に終わる。「お願いします」「ありがとうございました」はもちろんだが、「負けました」と潔く認めて頭を下げることが重要だ。そこに将棋の精神性が凝縮されているという。

 6年生の子が5年生に負けたときのこと。悔しくて涙が落ち何も言えない。そばで見ていた子がそっと盤面の涙をふきとる。最後は周囲の子の励ましの 中で「負けました」と言えたそうだ。著者は小学校教諭の傍ら長年にわたり将棋の指導をしてきた。つくづく思うのは<子供たちが「真剣になれる」実体験の重 さ>だ。集中力や相手への配慮など人生の糧を得る機会が詰まっている。

 羽生善治名人の言葉や事例も多く引かれている。将棋を知らない人が読んでも興味深い教育論だ。(冠)

毎日新聞 2010年11月7日 東京朝刊

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