Saturday, March 14, 2009

保育園から大学まで

Michel Fichantから次のような情報が回ってきた。日本の哲学者にとってさまざまな意味で重要だと思うので、翻訳しておく。昨今激化しているフランスの大学のストは、決して大学教員の特権的な身分保証のためだけの動きではなく、事は中等教員の身分変更、ひいては教育全般にも関わるものなのだ、という点を中等教育教員に説明するための文章である。

この文章で「国民教育省」が槍玉に挙げられているのは、「高等教育・研究担当省」だけが問題になっているのではないと強調するためである。フランスの教育制度の名称は内閣が代わるたびにマイナーチェンジする。この件に関する必要最低限の詳細はこちら

***以下翻訳

初等・中等教育の教員養成課程
改革反対に共に立ち上がろう

現在、すべての大学が大規模な抗議行動とストライキにさらされている。パリでは、後期の大部分の授業が開始されなかった。数日来この動きは激しさを増しており、多くの大学が封鎖されるに至っている。ドーフィーヌで、ソルボンヌで、ナンテールで、サンドニで、ヴィエタヌーズで、教育活動の大部分が、ときにはすでに六週間にわたって、停止している。教員・事務職員・学生のストは増え続け、実に多くの組合やさまざまな組織に支持されている。何が問題となっているのだろうか。研究資格を持つ教員の資格変更に関する改革だけが、そしてその改革に対して既得権益を守ろうとするギルド的と見なされてよい防御反応だけが問題になっているのだろうか。事実はまったく異なる。数カ月来、大学関係者が総意として[ensemble de la communauté universitaire]求めているのは、とりわけ国民教育省[フランスの文科省]の教員養成・採用に関する現今の改革案の撤回である。現在、この件に関して、関係省庁に対して六カ月以上にわたって要請され続けているにも関わらず、ヴァレリー・ペクレスとグザヴィエ・ダルコスはあらゆる議論を拒否している。通称「採用試験の修士課程化」と呼ばれるこの改革案は特に以下のことを提案している。

1)これまで採用試験合格後、一年間与えられてきた研修期間を削除すること。新規採用教員は、したがって、一年目から生徒たちの前で通常の職務を行なうことになる。

2)これまで教員養成において認められてきたさまざまな次元の訓練が縮減されること(現行案によれば、例えば、今後採用される語学教員は決して当該言語を話す実践的な能力によって評価されることはない)。

3)あらゆる学問分野のあらゆる中等教員採用試験において、学科試験を一つ減らし、代わりに「教育の世界に関する知識」という試験が導入されること(今後採用される教員は、数学であれ、国語であれ、歴史であれ、語学であれ、専門分野の勉強時間を減らして、ある中学や高校の内規、すなわち国民教育省大臣の深遠な奥義を学ぶことになる)。

4)今後、修士課程の二年目に教員採用試験を組み入れること。したがって、今年の受験者は、一方で十月[フランスでは新年度の開始月]から研究者として研究を行ない、修士論文を執筆して、翌年の六月の諮問に合格すると同時に、他方で、一月に筆記、六月に口述が行われる教員採用試験の準備もしなければならない。このことが必然的に意味するのは、

・教員採用試験も修士論文も中途半端なものになるだろうということであり、これは「修士課程化による教員養成のレベル向上」を謳う国民教育省の目標にとってむしろ正反対の帰結をもたらすものである。

・従来より給料を得られるのが一年遅くなるわけだから、そのような延長された研究を継続する財政的な手段を持たない学生たちが不利を蒙ることになるだろうということ。

・不可避的に、かなりの数の「採用待機者 reçus-collés(註)」、つまり修士号は取得したが、採用試験には不合格となる学生たちが出てくるだろうということであり、彼らは国民教育省が増やし続けている非正規教員枠の労働力として利用されることになる。ここ数年採用試験で募集される教員数は目の眩むほど激減しているが、この傾向は続き、より安価で不安定な身分に留め置かれる教員の数の増加によって埋め合わされることになる。

明日の中学や高校は、その結果、教育という同じ使命を担うはずの教員が、一方では国家公務員であり、他方では、生徒たちが心穏やかに学ぶのに必要な、知的活動を行なう余裕をもはや享受できない、未来の不確かな臨時職員であるような場所になっていくだろう。中学や高校の職場の雰囲気は、生徒ばかりか、学校の全職員のやる気を削ぐ、殺伐としたものになるだろう。

このような政策は、教員の養成・知的訓練にとって後退であり、社会的な損害である。事は国のあらゆる構成員に関わる以上、中等教育の教員たちは、生徒の父母同様、このような政策に無関心でいられないだろう。この破壊的な現行案に対して三月に行われるデモ行進に多く参加されんことを。

最初のデモ行進「保育園から大学まで」は、3月11日(水)に行われる予定です。パリでは、レピュブリック広場を14時30分に出発します。3月11日のデモはすべての大学都市で予定されています。

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