Monday, October 04, 2004

リュイエ、『大文字のユートピアと小文字のユートピアたち』

Raymond Ruyer, L’Utopie et les utopies, PUF, 1950 ; repris dans la coll. « Imago Mundi », Saint-Pierre-de-Salerne éd. Gérard Monfort, 1988 (Reprod. en fac-sim. de l'éd. de Paris, PUF, 1950).

レイモン・リュイエ1902-1987は、日本はおろかフランスでも再評価が進んでいるとは言えない著者の一人である(伝記的情報に関しては、La Gnose de Princeton (1977) ; D. Huisman, Dict. des philosophes (1984) ; Le Monde (1987-06-26) ; Les Vosgiens célèbres, sous la dir. de Albert Ronsin, 1990, p. 324。カンギレム、シモンドンまでは来たが、果たしてリュイエやプラディヌのレベルまで来るだろうか。それはさておき、本書によれば、「ナンシー大学教授、フランス学士院通信会員」。ビブリオ参照のこと。

精神-生物学系の前期(価値哲学系(ナベールとか?)含む)と、いかにも怪しげな後期(ニューエイジ系?)に分類できそうだ。1969年の『消費社会を讃えて』あたりから本格的におかしくなってきていると見ていいだろう。本書はこの奇天烈な軌跡からすれば割りと教科書的なつくり。昔、筑摩叢書からジャン・セルヴィエ著『ユートピアの歴史』というのが出ていたが、まさにあれに理論的な第一部を加えた感じではないか。ちなみに2000年にはBNで『ユートピアの歴史』展なるものが開催されていたようだ。

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