Tuesday, June 09, 2009

キルケゴール読書リスト(2)


グレゴーア・マランチュク『キェルケゴールの弁証法と実存』(大谷長訳)、東方出版、1984年。
本書の内容は「キェルケゴールの思想一般の単純な紹介」ではなく、「これまでどの研究者によっても気づかれなかったキェルケゴールの重要な弁証法的思想の発見」であり、「諸段階説の構築についての完全な系譜的説明」を与えてくれる。

ベルンハルト・メールポール『絶望の形而上学――キェルケゴール『死に至る病』の問題』(尾崎和彦ほか訳)、東海大学出版会、1980年。
「キェルケゴール研究史全体を通しても、『死に至る病』を、キェルケゴール の著作活動の全体像との関連を見失うことなく、これほど鋭利・明快に分析した書は稀有なのではあるまいか。またこの書を「形而上学」の書と見なし、キェル ケゴールを「形而上学者」として捉えるヴーストやメールポールの見方は、われわれに大きな問題と新たな展望を投げかけるであろう。」(訳者後記より)

私にとってのこの本の長所は、1)キェルケゴールの「実存弁証法」を簡潔に説明してくれていることと、2)キェルケゴールの人格概念をロマン主義、ヘーゲル、およびアウグスティヌスにおけるそれと比較して説明していくれていることである。

工藤綏夫(やすお)『キルケゴール』、清水書院、センチュリーブックス(人と思想19)、1966年。
当時のデンマーク文化の基本的な説明が嬉しい。

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