Wednesday, June 10, 2009

ストア派入門書リスト

ヘレニズム期の哲学からはストア派だけを取り上げる。時間がないので、エピクロス派と懐疑主義は割愛。

ラッセル哲学史は、ストア派に対してかなり辛辣である。彼にかかると、クリュシッポスは「ストア主義を、体系的で衒学的なものとした」輩である。『シャトレ』でストアを担当しているピエール・オーバンクはこう書いている。《本来の意味でのストア論理学は、今世紀初頭まで、すなわち人がそこにアリストテレス論理学の貧弱な焼き直ししか見出さないような見方に固執していた長い間、軽視されてきた。》ラッセルがストア派の「意味の論理学」にまったく関心を示していなかったのもこの文脈なのだろう。

シャトレ(さすがはピエール・オーバンク)、熊野さんはいい。『原典による』、いまいち。

加藤信朗(しんろう 1926-)「ヘレニズムの哲学」、『岩波講座 哲学』第16巻(哲学の歴史1)、1972年。この題名にして、約60頁にわたってひたすらストア派のみ!まあ何にせよ、詳しいのはありがたい。

水地宗明(みずち・むねあき 1928-)「ストア派、エピクロス派、懐疑派」、『新岩波講座 哲学』第14巻(哲学の歴史1)、1985年。まさにストア派的な「シュステーマ」に今一つ欠けている。

1.ロゴス、2.認識、3.プロレープシス、4.行為、5.善悪と価値、6.感情

内山勝利(1942-)「総論:地中海世界の叡智」、『哲学の歴史』第2巻(帝国と賢者)、中央公論新社、2007年。もちろんこの巻の神崎繁さんによるストア派論文も。

岩崎允胤(ちかつぐ 1921-)『ヘレニズムの思想家』(初版1982年)、講談社学術文庫、2007年。

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