Saturday, June 20, 2009

真正面からぶつかる

フランス語とドイツ語の両方を交えたシンポジウム、これを日本でやるのはすごい。外野からごちゃごちゃ言うのは簡単だけど、やるとなるとかなり難しいだけに、現場を見てみたかった。ブログ報告を見ても、ヨーロッパの研究者と本気でぶつかろうとしているのが分かる。

こっちはプロ野球に入りたての新人選手みたい。ビッグマウスはいいが、肝心の基礎体力がないという感じ。地道に哲学の筋力トレーニングに励んでいる…。



サッカー日本代表の岡田監督は、前任者のオシム監督と比べて、その采配についていろいろ言われているが(そしてそれらの疑問点・批判点の大部分を私は共有するが)、少なくとも現状、および強化プロセスに関する認識については間違っていないように思う。

1)自国の選手および当面のライヴァルの実力に関する現状認識、

2)その「強敵」に、最終的に(すぐに、ではなく)、勝てるようになるために、今、何が必要か=正面からぶつかって負け、課題を見つけること

哲学研究はどうだろうか。「集団で、国際的に、強くなる」という視点を持たない限り、いつまでも私たちのレベルアップはないだろう。いつまでも「中途半端な個人主義、大したパースペクティヴもない国内市場、縮小再生産のデフレスパイラル」が続くだろう。いつまでも「流行りもの」と「訓詁学」の不毛な二項対立で終わるだろう。

***インタヴュー抜粋

オーストラリアはアジアの中で抜けていますよ。個人のレベルとしてね。ほとんどの選手がヨーロッパでレギュラーを張っているわけでしょう。今まで日本人でプレミアリーグでレギュラーを張った選手は過去に1人もいませんよ。プレミア、セリエA、リーガ・エスパニョーラの3大リーグでもレギュラーを張ったのは、唯一ヒデ(中田英寿)くらいでしょう。それもペルージャのときだけですよ。ローマ、ボルトンではなっていない。オーストラリアは、2人くらいはレギュラーではない選手がいるけれど、ほぼ全員がレギュラーですよ。個人レベルで比較すれば圧倒的に日本より上の、いいチームですよ。でも、フランスや、イタリア、ブラジルと比べれば格落ちします。少なくとも個人レベルではアジア・ナンバーワンかもしれないけれどね。ならば、そんなオーストラリアくらいは負かしたい。

――オーストラリアを負かせるくらいでないと、ベスト4というものには手が届きません 

だから、負かせなければならないし、敵地であろうが、できると思っていますしね。ただ、今のところ真正面からぶつかっていくつもりです。もし、ここで策を打って、そこそこいい試合をして勝っても何も見えない。真正面からぶつかって『何が足らない』『何ができるか』が見えてこないと意味がないわけですよ。この前のホームでやったオーストラリア戦でも、そうですけれど、僕は一切、策は打たないしパワープレーもしなかった。それは決めていたんです。だから見えてきたものがありましたしね。

――ホームのオーストラリア戦では相手が引き分け狙いで思い切り守備的でした。あれだけ守られると、FWにこじ開ける力はありませんね 

僕は、そういう見方はしていないんですよ。逆に言うとオーストラリアがアジアであれだけボールを相手にキープされたことは初めてですよ。僕は「こういう相手にもあれだけ回すことができるんだ」と思った。それに、あれだけ守られると、世界中、どのチームも、簡単には点は取れません(笑)。でも引き分けに満足してはいけない。

何が勝つために必要なものだったのか。1つ見えたポイントは、ゴール前に入っていかなきゃいけないということです。「中盤で回すのに人数をかけているのでゴール前に入れません」では、彼らに勝てませんよ。彼らは、中盤で日本みたいにボールを回すならば、きっとゴール前には入れないでしょう。でも、われわれは回したところからまた入っていく、だから勝てるんです。「前線でプレッシャーをかけているからゴール前にいけません」。それじゃあ勝てないんです。前線の選手も守備に参加し、なおかつ、ゴール前でシュートを打てなきゃダメなんです。そういうことが徐々に見えてきているので、僕は、あのオーストラリア戦をネガティブにとらえていないんです。

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