Wednesday, February 29, 2012

【クリップ】経営者よりも目立った学生の声 関西財界セミナーに新風

経営者よりも目立った学生の声 関西財界セミナーに新風

2012/02/19 13:06更新

関西財界セミナーに参加した大学生たち=2月9日、京都市
【ビジネスの裏側】

関西の政財界人らが一堂に会する恒例の「関西財界セミナー」がこのほど、京都市内で開かれた。今回で50回目を数え、歴史を重ねてきた財セミも昨今は“マンネリ化”が指摘され、関西の地盤沈下の影響か、開催の意味さえ問う声も少なくない。そんな中、今回はセミナー史上初となる意外な試みが行われた。

 「ASEAN圏の国家はいつか淘汰されると思う。ぜひ、日本を広く見てほしい!」。企業のグローバル競争と人材戦略について議論を交わした分科会会場に、立命館大大学院国際関係研究科の趙俊秀(ジョ・ジュンス)さんの声が響き渡った。

関西経済や成長戦略などテーマごとに6つの分科会に分かれて、議論が交わされた財セミ。この分科会では外国人留学生の採用の実態とその課題について、企業 側や大学教授らが意見を繰り広げた。その後、セミナーに初めての参加となった趙さんら外国人留学生3人と日本の大学生2人が企業の採用についてそれぞれの 思いを語った。

グローバル化が重要と叫ばれながらも、外国人留学生に対する企業の採用数は少ないのが現実。「留学生は母国と関係を切っている。環境が変わることにアレルギーはない」。韓国から来日して5年という趙さんはこう続けた。

中国・上海から神戸大経営学研究科に留学している叶承啓(ヨウ・ショウケイ)さんも、流暢な日本語で「優秀な日本人だけでなく、多国籍の人材を採用することは今の流れ。企業と留学生の間にもっと接点を作ってほしい」と呼びかけた。

彼らの熱のこもった発言に思わず背筋を伸ばし、食い入るように聞き入る企業トップら。今回参加した学生は、大学教授や海外の要人らと同様に「招待者」とい う立場で参加。「企業の人材」がテーマの分科会だったため、就職活動に関する発言が相次いだが、採用の面接試験に比べて圧倒的に多くの企業人を前にしなが らも、学生らは堂々と発言していた。

立命館大大学院国際関係研究科の太田麻美さんは「経済界を引っ張っている方々を前に、どうなることか と思ったが、私の話も真剣に聞いてくださって感激した」と振り返り、「若い人が考えていることも分かっていただける機会」として、同じような取り組みが行 われることに期待を寄せた。

一方、財セミの主催者側も学生の参加に関して好感触だった様子。関西経済連合会森詳介会長は「企業人にとって反省すべき鋭い意見だった。学生の参加は新鮮でいい。刺激のある意見交換だ」と述べ、関西経済同友会の大竹伸一代表幹事も「インターンシップとして積極的に考えてもいいのではないか」と今後の学生参加にも言及した。

かつては、住友金属工業社長などを務めた日向方斎(ひゅうがほうさい)氏が「徴兵制」を提唱するなど、注目を集めた関西財界セミナー。学生たちの意見に耳を傾けた今回のような取り組みが、最終的に関西の起爆剤につながるのかもしれない。(内海俊彦)

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