キャリア教育、大学と企業の意識のズレ大きく
2012/02/14 22:53更新
大学や企業が、学生たちの職業観などに強い危機感を持っていることが産経新聞が実施した調査から分かった。どんな実態にあり、どう立て直そうとしているのだろう。調査結果や、関係者の声から探ってみた。
■低内定率の背景
■低内定率の背景
調査の中で、学生の職業意識の低下などを感じる場面をたずねたところ、「面接など約束の時間を守らない」「すぐにあきらめる」「コミュニケーション能力に欠ける」「給料や休日だけを重視して就職先を決める」といった回答が大学、企業に共通して多かった。 今春卒業の大学4年生の就職内定率は71%で、最近15年間では2番目に低い。だが就職難の原因は、不況以外に学生の側にもあるようで、「豊かな社会を反映して、生業につかなくても生きていけると考えている学生がいる」(関東の私立大)といった指摘が多くの大学からあった。
■企業とのズレ
調査からは、学生支援のために大学が取り組むキャリア教育についても聞いた(複数回答)。8割以上の大学で「インターンシップ実施」「自己分析テスト」「企業人の講演」「面接対策」「エントリーシート対策」などが行われていた。3年前と比較してキャリア教育にかける時間数が「増えた」と答えた大学は76%もあった。
■企業とのズレ
調査からは、学生支援のために大学が取り組むキャリア教育についても聞いた(複数回答)。8割以上の大学で「インターンシップ実施」「自己分析テスト」「企業人の講演」「面接対策」「エントリーシート対策」などが行われていた。3年前と比較してキャリア教育にかける時間数が「増えた」と答えた大学は76%もあった。
しかし、大学でのキャリア教育と、企業が望む教育とにズレがあることも浮かび上がった。
企業にキャリア教育の効果について聞いたところ、「インターンシップ」「自己分析テスト」「企業人の講演」については、「有用と思う」という回答が7割前後あった。
一方で、多くの大学で実施している、面接やエントリーシート、能力・性格テスト対策については、「有用と思う」はわずか2割前後。「型にはまった回答しかできない」(ソフト制作)といった批判が多数あった。
■今後の学生支援は
今後の学生支援をどのように展開すべきかを聞くと、大学、企業ともに、「忍耐力やコミュニケーション力をつける教育」(化学メーカー)、「社会人と接する機会の増加」(化粧品販売)、「学業に専念させる期間を大切にすることが重要」(関西の私立大)といった意見が共通した。
現在の就職活動の支援態勢の発想を転換させ、「未内定者への支援策を充実させるよりも、頑張って就職先を見つけた学生へのインセンティブを考えるべきだ」(関東の私立大)といった意見もあった。
だが、学生をとりまく様々な課題解決は用意ではないのが現実。人材開発に関する調査研究をしている産業能率大学総合研究所の杉原徹哉・マネジメントリサー チセンター長は、「企業にゆとりがなくなっていることもあり、学生に求められる質が高くなっている」と指摘。「大学側には就職率を上げるため、入社試験や 面接訓練などに力を入れざるを得ない事情があり、企業との意識の差はますます大きくなっていく可能性がある」と話している。
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