Saturday, May 02, 2009

結婚と笑い


《結婚するとき、私は女房を食べてしまいたいほど可愛いと思った。今考えると、あのとき食べておけばよかった。》アーサー・ゴッドフリー


思うに、愛でも性でも家族でもなく、結婚について考えたいのは、私が「笑い」を愛するからではないか。クラシックも好きだが、コメディほどではない。歌舞伎も嫌いではないが、落語ほどではない。

愛や性や家族に関する格言と、結婚に関する格言を比べてみてほしい。おそらくは絶対的な違いが一つある。それは、苦み走ったユーモアが最も冴えわたるのは結婚の格言だ、ということだ。

悲壮めかしたハイデガー論や死と不安の実存哲学が好きでない理由もこんなところにあるのだろう。ハイデガーの皮肉な笑いは嫌いではないが、それを聴きとれない「音痴」のハイデガー屋が多すぎる。

ベルクソンに欠けているのは「性」の問題ではなく、「性差」の問題だとかつて書いたことがある。私なりの答えが結婚論である。と同時に、ベルクソン哲学と結婚論をつなぐものがある。それは単純でありながら単純でない生であり、一筋縄ではいかない笑いである。

《あらゆる真面目なことのなかで、結婚というやつが一番ふざけている。》(ボーマルシェ)

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